建て替えの予算を考えるとき、多くの方が最初にやるのが「坪単価×坪数」の掛け算です。30坪で3,000万円なら、40坪なら4,000万円。この計算自体は間違っていません。ただ、この計算だけで坪数を決めると、見積もりが出てきた段階で予算とのずれに気づくことになります。
結論から言うと、私なら坪数を検討するときは、本体工事費ではなく「本体以外の費用がどう動くか」を先に確認します。建て替え費用のうち、坪数を増やしても1円も変わらない項目、比例して増える項目、逆に減る項目、ある水準を超えると段階的に跳ね上がる項目が、はっきり分かれているからです。
私は建設資材メーカーに十数年勤めたうえで、施主として8社以上のハウスメーカーと商談してきました。その両方の目線で見ると、「坪単価」という言葉が会社ごとに違う意味で使われていること、そして坪数を1割増やしたときに動く費用が本体工事費だけではないことが、はっきり見えてきます。この記事では、延床30坪・40坪・50坪の3つの規模で費用のどこがどう動くのかを項目ごとに整理します。
この記事でわかること
- 坪数を増やしても金額が変わらない費用と、その理由
- 坪数に比例して増える費用と、比例しない増え方をする費用の違い
- 坪数を増やすと逆に減ることがある費用
- ある広さを超えると段階的に負担が変わる制度と、その境目の数字
- 30坪・40坪・50坪の総額モデルと、本体工事費の差との食い違い
- 商談で坪数を検討するときに、見積書のどこを確認すればよいか
結論:総額の差は「坪単価×増えた坪数」とは一致しません
先に結論を書きます。30坪から40坪へ10坪増やしたとき、本体工事費の差は坪単価65万〜120万円で計算すると650万〜1,200万円です。ところが総額の差は、後述するモデルケースでは約710万〜1,380万円になります。本体の差より大きく開きます。
理由は単純で、本体工事費以外にも坪数に応じて増える項目があるからです。照明・カーテン・エアコン、仮設工事、設計申請の費用、そして借入額が増えることで動く諸費用が、本体の裏側で一緒に積み上がります。
一方で、坪数を増やしても1円も変わらない項目もあります。既存の家を壊す解体費用がその代表です。今建っている家の大きさで決まるので、新しく建てる家を何坪にしても解体費は動きません。外構工事に至っては、建物が大きくなった分だけ庭が狭くなるため、金額が下がることさえあります。
つまり「坪単価×坪数」だけの計算は、増える方も減る方も両方見落とします。項目ごとに動き方が違うことを把握したうえで、実際の見積書を読むほうが確実です。
この記事の試算の前提条件
建て替え費用は敷地条件と既存建物の状態で大きく変わるため、前提を書かずに金額だけ並べても比較の役には立ちません。試算の前提を先にそろえておきます。
なお、以下の金額は実勢価格の相場表ではなく、坪数による差額の動き方を比べるための条件付きモデルです。工事ごとの金額幅も比較用の仮定であり、実際の資金計画では敷地調査後の見積書に置き換える必要があります。
| 項目 | 本記事の前提 |
| 土地 | 自己所有地・約60坪。土地の購入費は含めません |
| 既存建物 | 木造30坪。新しく建てる家の坪数にかかわらず、解体の条件は共通です |
| 新築建物 | 木造2階建て・延床30坪/40坪/50坪の3パターン |
| 本体工事費の比較条件 | 1坪あたり65万円・90万円・120万円の3条件で機械的に試算。実勢価格の相場を示すものではありません |
| 敷地条件 | ほぼ平坦・一般的な接道。擁壁の造り替えや大規模な造成はなし |
| 金額表示 | 原則として消費税込みの概算 |
| 含める費用 | 本体、解体、地盤、設計申請・付帯工事、仮住まい、外構、照明・カーテン・エアコン、登記・ローン・保険 |
本体工事費を3条件で置いたのは、坪数の差と依頼先・仕様による価格差を切り分けるためです。たとえば40坪を1坪あたり65万円で計算すると2,600万円、120万円で計算すると4,800万円になります。これは比較用の計算であり、特定の会社の見積額を示すものではありません。
65万円という比較条件には、現行商品の具体例があります。泉北ホームの公式サイトでは、スマイルパッケージを建物価格1,966万円(税込)・30坪3LDKの2階建てと案内しています(2026年8月確認)。1坪あたりに直すと約66万円です。ただし、この商品価格を他社や別仕様へそのまま当てはめることはできません。価格帯ごとの傾向はハウスメーカーを坪単価帯で選ぶ【2026年版】、建て替え費用の全体像は注文住宅の建て替え費用の相場【2026年版】で整理しています。
坪数を増やしても変わらない費用
まず、坪数を増やしても金額がほとんど動かない項目です。ここを「増えるもの」と思い込んでいると、坪数を削ったときに思ったほど総額が下がらず、調整に苦労します。
解体費用は「今建っている家」の大きさで決まります
建て替えで最初に発生する解体費用は、これから建てる家ではなく、今建っている家の構造と延床面積で決まります。木造30坪の家を壊す費用は、その跡地に30坪を建てても50坪を建てても同じです。
比較モデルでは、木造30坪の既存建物の解体に90万〜150万円を仮置きしています。これは相場の断定ではなく、3つの新築案で共通に置く条件です。実際には残置物、ブロック塀、庭木、アスベスト含有建材などの有無で変わりますが、いずれも新しい家の坪数ではなく解体対象の条件で決まります。住宅会社経由と解体業者への直接依頼の違いは、建て替えの解体費用を比較する方法【2026年版】で解説しています。
地盤調査費は敷地に対してかかります
地盤調査は敷地と建築計画に対して行います。比較モデルでは3案とも5万〜10万円を仮置きしていますが、調査方法や会社によって実額は変わります。ただし、調査結果を受けて行う地盤改良工事は別です。建物の重さと接地面積も工法選定に影響するため、後半の「段階的に跳ね上がる費用」で改めて取り上げます。
屋外給排水は敷地内の配管距離で決まります
見落とされやすいのが屋外給排水工事です。これは道路の本管から敷地内を通して建物まで水道管・排水管を引く工事で、費用は主に配管の距離と経路で決まります。建物が大きくなっても、本管からの距離が変わらなければ工事量はさほど変わりません。
変わるとすれば、2階にトイレを追加するなど水回りの数が増えたときです。坪数を増やしても水回りの数と位置が同じであれば、屋外給排水はほぼ据え置きになります。
仮住まいは坪数ではなく工期と家族の人数で決まります
仮住まい費用は、家賃と引っ越し2回分、荷物の保管料で構成されます。金額を左右するのは建てる家の坪数ではなく、借りる部屋の広さと借りる期間です。
ただし完全に無関係ではありません。建物規模や仕様によって工期が延びれば、その分だけ家賃と保管料が積み上がります。比較モデルでは、30坪を70万〜160万円、50坪を90万〜200万円と仮置きしました。実額は住宅会社の工程表と仮住まいの契約条件で確認する必要があります。内訳は建て替え中の仮住まい費用の相場【2026年版】で詳しく整理しています。
坪数に比例して増える費用
次に、坪数におおむね比例して増える項目です。ここは想像どおりの動き方をしますが、本体工事費以外にも比例して増えるものがあることを押さえておきたいところです。
本体工事費は坪単価の幅がそのまま総額の幅になります
| 延床面積 | 坪単価65万円 | 坪単価90万円 | 坪単価120万円 |
| 30坪 | 1,950万円 | 2,700万円 | 3,600万円 |
| 40坪 | 2,600万円 | 3,600万円 | 4,800万円 |
| 50坪 | 3,250万円 | 4,500万円 | 6,000万円 |
この表で重要なのは、縦の差より横の差のほうが大きいという点です。坪単価90万円で40坪を建てた場合の3,600万円と、坪単価120万円で30坪を建てた場合の3,600万円は同額になります。坪数を10坪削るより、価格帯の違う会社を検討するほうが総額へのきき方が大きい、という場面は実際に起こります。
もう一点、小さい家ほど坪単価が高く見えやすい点にも注意が必要です。キッチン・浴室・洗面・トイレといった設備は、家が小さくても同じように必要だからです。逆に50坪の家は坪単価が下がって見えますが、これは割安になったというより、割り算の分母が大きくなっただけという面があります。
仮設工事・足場は建物の外周と高さで決まります
工事中に組む足場や仮設のトイレ・電気・水道は、建物の規模に応じて増えます。特に足場は建物の外周の長さと高さで数量が決まるため、延床が広くなればそのまま増えます。
ここで注意したいのが、同じ延床50坪でも建物の形によって外周が変わる点です。総二階に近い四角い家より、凹凸の多い家のほうが外周は長くなり、足場と外壁の数量が増えます。設計申請・付帯工事・屋外給排水を合わせた費用は、本記事では30坪で120万〜260万円、50坪で160万〜340万円としています。
照明・カーテン・エアコンは部屋数と窓の数で決まります
見積書で本体工事費とは別枠になりやすいのが、照明器具・カーテン・エアコンです。この3つは坪数が増えるほど素直に増えます。部屋が増えれば照明が増え、窓が増えればカーテンが増え、居室が増えればエアコンの台数が増えるためです。
本記事の試算では、30坪で80万〜150万円、40坪で110万〜200万円、50坪で140万〜250万円を見込んでいます。この3項目だけで、30坪と50坪の間に60万〜100万円の差が生まれます。金額としては小さくありませんが、契約時の総額に入っていないことが多く、資金計画から抜け落ちやすい部分です。
建て替えでは、既存の家のエアコンやカーテンを持ち込めるかどうかでも金額が変わります。ただし窓の寸法が変わればカーテンは作り直しになり、古いエアコンは移設の工事費を払うより買い替えたほうが安く済む場合もあります。
坪数を増やすと逆に減ることがある費用
外構は「敷地面積から建物の面積を引いた広さ」で決まります
外構工事は、駐車場の舗装、アプローチ、塀、フェンス、門まわり、植栽といった工事の集合です。これらは建物の外側にかかるため、費用は平米単価で積み上がります。つまり、整備する面積が広いほど高くなります。
ここで坪数との関係が逆転します。敷地60坪に建物の投影面積15坪の家を建てれば、外構の対象になるのは残り45坪です。同じ敷地に投影面積25坪の家を建てれば、対象は35坪に減ります。建物が大きくなった分、庭が狭くなるためです。
本記事の試算では、外構費を30坪で180万〜300万円、50坪で140万〜250万円としています。50坪のほうが40万〜50万円安くなる計算です。差は劇的ではありませんが、「家を大きくすると外構も比例して高くなる」という思い込みは当てはまりません。敷地が広いほど外構の対象面積も広がる点については、80坪の土地で建て替える費用【2026年版】で詳しく整理しています。
坪数で段階的に跳ね上がる費用
最後が、比例でも据え置きでもなく、ある水準を超えたところで階段状に変わる項目です。予算計画を狂わせやすいのは、実はこのタイプです。
地盤改良は建物の重さで工法が変わります
地盤改良が要るかどうか、どの工法になるかは、地盤の強さと建物が地面にかける荷重の関係で決まります。同じ地盤でも、建物が大きく重くなれば必要な支持力が上がり、より深い層まで届く工法が選ばれることがあります。
工法が表層改良から柱状改良へ、柱状改良から鋼管杭へ変わると、費用は数十万円単位で跳ね上がります。しかも改良する範囲は建物の基礎の下ですから、建物が広がれば施工本数も増えます。本記事では地盤改良の予備費を30坪で0〜150万円、50坪で0〜250万円と見込みました。
建て替えでは「今の家が建っているのだから地盤は大丈夫」と考えたくなりますが、古い家は現在の基準より軽い構造だったり、当時の調査基準が今と違ったりします。改良が不要になる可能性もあるため、この金額は総額に組み込まず別枠の予備費として確保しておく形が扱いやすいと考えています。
固定資産税の減額は120平方メートルまでが上限です
新築住宅には固定資産税の減額措置があります。国土交通省の資料によると、令和13年(2031年)3月31日までに新築された一定要件の住宅は、家屋の固定資産税額が2分の1に減額されます。一般的な一戸建ては3年度分、認定長期優良住宅は5年度分が対象です。
ここに坪数の境目があります。減額の対象になるのは、居住部分の床面積のうち120平方メートルまでの部分です。120平方メートルは約36坪ですから、坪数との関係は次のようになります。
| 延床面積 | おおよその平方メートル | 減額措置との関係 |
| 30坪 | 約99平方メートル | 全体が減額の対象になります |
| 40坪 | 約132平方メートル | 120平方メートル分までが対象。残りは対象外です |
| 50坪 | 約165平方メートル | 120平方メートル分までが対象。全体の7割強にとどまります |
あわせて床面積の要件にも注意が必要です。令和8年4月1日以降に新築される住宅では、対象となる床面積の範囲が40平方メートル以上240平方メートル以下です。240平方メートルは約72坪ですから、この記事で扱う50坪までは範囲内ですが、二世帯住宅などで大きく建てる場合は上限に近づきます。金額の水準は自治体と建物の評価で変わるため、具体的な試算は建築予定地の市区町村の窓口で確認するのが確実です。
建ぺい率の制約で3階建てになると条件が変わります
坪数を増やそうとしたとき、敷地の建ぺい率が壁になることがあります。建ぺい率は敷地面積に対して建てられる建築面積の割合で、用途地域ごとに決められています。
1階と2階でおさまらない場合、選択肢は3階建てになります。ここで費用の条件がまとめて変わります。構造の検討がより慎重になり、地盤への荷重も増えます。防火地域や準防火地域であれば、求められる耐火の仕様も変わります。
「あと5坪増やしたい」という要望が2階建てでおさまるか3階建てになるかで、費用の増え方はまったく違うものになります。坪数を検討する初期の段階で、敷地の建ぺい率と容積率、用途地域、防火の指定を確認しておくと後戻りが減ります。
借入額が増えると諸費用も段階的に動きます
坪数を増やして総額が上がれば、借入額も増えます。ローン保証料や事務手数料は借入額に比例するタイプが多いため、ここは比例して増えます。本記事の試算では、登記・ローン・保険・印紙を合わせて30坪で100万〜180万円、50坪で140万〜260万円としています。
一方、印紙税は段階制です。国税庁の案内によると、建設工事請負契約書の印紙税には軽減措置があり、令和9年3月31日までに作成される一定の契約書が対象です。軽減後の税額は、契約金額が1,000万円超5,000万円以下で1万円、5,000万円超1億円以下で3万円です。契約金額が5,000万円をまたぐと、ここで2万円変わります。
住宅ローン控除にも上限があります。国土交通省の2026〜2030年入居分の資料では、借入限度額と控除期間が住宅の省エネ性能、入居年、世帯区分によって分かれています。床面積要件は原則40平方メートル以上ですが、合計所得金額が1,000万円を超える場合や子育て世帯等の上乗せ措置を利用する場合は50平方メートル以上です。坪数を増やして借入額を増やしても控除額が同じだけ増えるとは限らないため、商談時点の入居予定年と住宅性能を当てはめて確認する必要があります。
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同じ40坪でも、坪単価の考え方や見積書に含まれる工事範囲は会社ごとに違います。1社だけに聞いても、その金額が高いのか安いのかは判断できません。タウンライフ家づくりなら、間取りプラン・資金計画・土地情報をまとめて取り寄せられるので、坪数ごとの費用感を横並びで比べる出発点になります。
モデルケース|30坪・40坪・50坪の総額比較
ここまでの項目を1枚の表にまとめます。前提は先に示したとおり、自己所有の敷地60坪、既存建物は木造30坪、新築は木造2階建て、坪単価65万〜120万円です。
| 費用項目 | 30坪 | 40坪 | 50坪 | 坪数との関係 |
| 本体工事費 | 1,950万〜3,600万円 | 2,600万〜4,800万円 | 3,250万〜6,000万円 | 比例して増えます |
| 既存建物の解体 | 90万〜150万円 | 90万〜150万円 | 90万〜150万円 | 変わりません |
| 地盤調査 | 5万〜10万円 | 5万〜10万円 | 5万〜10万円 | 変わりません |
| 地盤改良の予備費 | 0〜150万円 | 0〜200万円 | 0〜250万円 | 段階的に上がります |
| 設計申請・付帯工事・屋外給排水 | 120万〜260万円 | 140万〜300万円 | 160万〜340万円 | 一部だけ増えます |
| 仮住まい・引っ越し・保管 | 70万〜160万円 | 80万〜180万円 | 90万〜200万円 | 工期の分だけ増えます |
| 外構工事 | 180万〜300万円 | 160万〜280万円 | 140万〜250万円 | 逆に減ることがあります |
| 照明・カーテン・エアコン | 80万〜150万円 | 110万〜200万円 | 140万〜250万円 | 比例して増えます |
| 登記・ローン・保険・印紙 | 100万〜200万円 | 120万〜240万円 | 140万〜280万円 | 借入額に応じて増えます |
| 総額の目安 | 約2,600万〜4,980万円 | 約3,310万〜6,360万円 | 約4,020万〜7,730万円 | — |
本体の差と総額の差は一致しません
この表で確認できるのは、次の食い違いです。
| 比較 | 本体工事費の差 | 総額の差 |
| 30坪→40坪 | 650万〜1,200万円 | 約710万〜1,380万円 |
| 40坪→50坪 | 650万〜1,200万円 | 約710万〜1,370万円 |
| 30坪→50坪 | 1,300万〜2,400万円 | 約1,420万〜2,750万円 |
総額の差は、本体工事費の差より1割から1割5分ほど大きくなります。解体費が動かず外構費が下がるにもかかわらず総額の差が広がるのは、照明・カーテン・エアコン、設計申請・付帯工事、地盤改良の予備費、そして借入額に連動する諸費用が同時に増えるためです。
逆の見方をすれば、坪数を削って予算を下げようとするとき、削減額は本体工事費の減り分より少し大きくなる可能性があります。ただし解体費と地盤調査費はどれだけ坪数を削っても残りますし、外構費はむしろ増えます。「10坪削れば坪単価の分だけ安くなる」という単純な計算にはならない、というのがここでの結論です。
なお、この表は前提条件を置いた比較モデルです。実際の金額は敷地の状況や選ぶ会社の価格帯で大きく変わるため、数字そのものではなく項目ごとの動き方を判断材料にします。
商談で確認すること|見積書のどこを見るか
ここからは実務の話です。坪数を検討する段階で、営業担当に何を確認すればよいかを順番に整理します。
手順① 坪単価に何が含まれているかを先に確認します
坪単価という言葉の中身は会社ごとに違います。本体工事費だけを延床で割った数字を出す会社もあれば、付帯工事や設計申請費を含めた数字を出す会社もあります。施工床面積で割っている会社もあり、その場合は玄関ポーチやバルコニーが分母に入るため、坪単価は低く出ます。
私が商談で強く感じたのは、この定義を確認しないまま各社の坪単価を並べても比較にならない、という点でした。「その坪単価には何が含まれているのか」「割っているのは延床面積か施工床面積か」。この2つを最初に聞いておくと、その後の話がかみ合います。
手順② 標準仕様の範囲を書面で確認します
坪単価が安く見える会社でも、標準仕様の範囲が同じとは限りません。断熱材のグレード、窓の仕様、キッチンや浴室のグレード、外壁材の種類について、どこまで標準でどこからオプションなのかを書面で確認します。
坪数を検討する前にこの範囲を確定させておくことが大切です。標準の範囲が違えば、同じ40坪でも金額はまったく別物になります。会社ごとの標準仕様の考え方はハウスメーカーの標準仕様充実度を比較【2026年版】で整理しています。
手順③ 坪数を変えた見積もりを2案そろえてもらいます
いちばん確実なのは、実際に2案作ってもらうことです。「40坪案」と「45坪案」のように、同じ標準仕様・同じ敷地条件で坪数だけを変えた見積もりを並べると、どの項目がいくら動いたかが項目単位で見えます。一般論の目安ではなく目の前の会社の数字で判断できるという点で、この記事の表よりよほど役に立ちます。
手順④ 差額込みの総額で判断します
2案がそろったら、本体工事費だけを見比べるのではなく、外構・照明・カーテン・エアコン・諸費用まで含めた総額で比べます。ここまで入れて初めて、坪数を変えたときに手元の資金がどう動くかが見えます。
あわせて確認したいのが、見積書に入っていない項目です。地盤改良、屋外給排水、外構、照明・カーテン・エアコン、登記費用は、「別途」と書かれて金額欄が空欄になっていることがあります。空欄のままでは総額を比較できないため、概算でも数字を入れてもらう必要があります。
建てた後に効いてくる差|固定資産税・光熱費・修繕費
坪数の判断で見落とされやすいのが、建てた後に毎年かかり続ける費用です。建築費は一度払えば終わりますが、こちらは住んでいる限り続きます。
固定資産税は毎年の差として残ります
先に触れたとおり、新築住宅の減額措置は120平方メートルまでの部分が対象で、一般的な一戸建てなら3年度分です。40坪や50坪の家では、超えた部分は当初から減額の対象外になります。そして4年目からは減額が終わり、本来の税額に戻ります。家屋の評価額は延床面積が広いほど高くなるため、坪数の差はそのまま毎年の税額の差として残り続けます。
光熱費は面積より断熱性能できいてきます
広い家ほど冷暖房する空間が増えるため、光熱費は上がる方向に働きます。ただし、面積の差より断熱・気密の性能差のほうが効き方は大きくなります。断熱性能の低い30坪の家と、断熱性能の高い50坪の家では、後者のほうが冷暖房費が低くなる場合もあります。坪数を増やすかどうかで迷っているなら、同じ予算で「広さを取る」か「性能を上げる」かという比べ方も検討する価値があります。
修繕費は外壁と屋根の面積で決まります
10年後、15年後にやってくる外壁の塗り替えやシーリングの打ち替え、屋根の点検・補修は、外壁と屋根の面積で費用が決まります。延床が広ければ外壁面積も屋根面積も大きくなるため、修繕費も上がります。凹凸の多い家は同じ延床でも外壁面積が増えるため、さらに上がります。建てるときの見積もりには出てこない差ですが、長く住むほど効いてくる部分です。
予算が合わないときに調整する順序
見積もりが予算を超えたとき、坪数を削るのは有効な方法の一つですが、最初に手をつける項目とは限りません。私なら次の順番で検討します。
- 建物の形をシンプルにします。同じ延床でも凹凸を減らせば外壁面積と足場が減り、将来の修繕費も下がります
- 後からでもできる工事を切り出します。外構の一部、造作家具、物置などは入居後に回せます
- 坪数を削ります。ただし解体費と地盤調査費は残り、外構費はむしろ増える点を計算に入れます
- 設備のグレードを見直します。ただし後から交換しにくい断熱・窓・構造には手をつけない方針をおすすめします
- 価格帯の違う会社を検討します。坪数を削るより総額へのきき方が大きい場合があります
この順序は、後から変えられるものを先に削り、後から変えられないものを最後まで残す、という考え方によるものです。坪数と断熱性能は建ててしまうと変更に手間がかかりますが、外構や造作家具は暮らし始めてから足していけます。
よくある質問
坪数を10坪削れば、坪単価の分だけ安くなりますか
そうはなりません。本記事の試算では、10坪削ったときの総額の下がり幅は、本体工事費の下がり幅より1割から1割5分ほど大きくなりました。照明・カーテン・エアコンや諸費用も一緒に下がるためです。一方で解体費と地盤調査費は残り、外構費は逆に増えます。項目ごとに動き方が違うため、実際の見積書で確認する必要があります。
建て替えの解体費は、新しく建てる家を小さくすれば下がりますか
下がりません。解体費用は今建っている家の構造と延床面積で決まります。新しい家を30坪にしても50坪にしても、壊す対象は同じです。解体費を抑えたいのであれば、残置物を自分で処分する、住宅会社経由と解体業者への直接依頼を比較するといった方向で検討することになります。
40坪を超えると固定資産税が一気に上がりますか
一気に上がるわけではありません。新築住宅の減額措置が120平方メートル、つまり約36坪までの部分を対象としているため、36坪を超えた部分については当初から減額が適用されない、という形になります。段差があるのは減額の対象範囲であって、税額そのものが跳ね上がるわけではありません。ただし減額期間が終わる4年目以降は、面積の差がそのまま毎年の差として残ります。
同じ延床50坪なら、どの会社でも同じ広さになりますか
同じとは限りません。延床面積で表示している会社と、施工床面積で表示している会社があります。施工床面積には玄関ポーチ、バルコニー、吹き抜け、小屋裏収納などが含まれる場合があり、その分だけ数字が大きく出ます。「その50坪は延床ですか、施工床ですか」と確認しておくと、比較のずれを避けられます。
まとめ
建て替えで坪数を検討するとき、「坪単価×坪数」の掛け算だけで判断すると、実際の総額とはずれます。本記事の試算では、10坪増やしたときの総額の差は本体工事費の差より1割から1割5分ほど大きくなりました。
費用の動き方は項目ごとに4つに分かれます。既存建物の解体費と地盤調査費は坪数を変えても動きません。本体工事費と照明・カーテン・エアコンは比例して増えます。外構費は建物が大きくなるほど対象面積が減るため、下がることがあります。地盤改良と固定資産税の減額範囲、階数の判断は、ある水準を境に段階的に変わります。
商談では、坪単価の定義と標準仕様の範囲を書面で確認し、坪数だけを変えた見積もりを2案そろえてもらうのが確実です。そのうえで、外構・照明・カーテン・エアコン・諸費用まで含めた差額込みの総額で判断してください。この手順を踏んでおけば、契約後に「思っていたより増えた」という事態を減らせます。
そして、坪数を10坪削るより価格帯の違う会社を検討するほうが総額へのきき方が大きい場合があります。1社の見積もりだけで坪数を判断せず、複数社の数字を横に並べて決めることをおすすめします。
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