さあ注文住宅が欲しいなと思ったとき、最初に疑問になるのが工務店を探すのか、土地を探すのかという問題です。
結論から言うと、私なら住宅会社を2〜3社に絞ってから土地を探します。土地が良いかどうかは、そこに建てる家のプランを描いてみないと判断できないためです。会社を先に決めるといっても、契約まで先に済ませるという意味ではありません。相談できる相手を作ってから土地を見る、という順番の話です。
土地探しから始める方の多くは、不動産会社の物件情報を見比べるところからスタートします。ところが、価格と広さと駅からの距離を並べても、その土地に希望の家が建つかどうかは分かりません。判断に必要な材料が、その段階ではまだ揃っていないためです。
この記事では、なぜ判断材料が揃わないのか、会社を先に絞るとどう変わるのかを整理したうえで、会社に土地を探してもらう場合の進め方、建築条件付き土地という買い方、土地探しと会社選びを並行して進めるときの段取りまでまとめます。
土地の良し悪しは、建物のプランを描いてみないと判断できない
同じ土地でも、会社によって建てられる家が変わる
同じ敷地でも、住宅会社が違えば提案される間取りは変わります。構造や工法によって取れる開口部の大きさが違いますし、規格住宅を主力にしている会社であれば、決まったプランが敷地に収まるかどうかという判断になります。自由設計の会社であれば、変形した敷地でも形を合わせられることがあります。
メーカーによっては、家までの道がある程度の幅がないと対応できないというメーカーもあります。
つまり「この土地は狭い」「この形は使いにくい」という評価は、どの会社で建てるかとセットでなければ決まりません。土地だけを単独で採点することは、実はできないということです。
図面にしてみて初めて見えてくる項目
物件情報だけでは判断できず、建物プラン、法令調査、現地調査、見積もりを組み合わせて確認したい項目を整理しました。
| 土地の条件 | 物件情報だけでは分からないこと | プラン・調査・見積もりで確認すること |
|---|---|---|
| 間口が狭い・変形している | 希望の部屋数が入るか | 実際に収まる間取りと、削る必要のある要望 |
| 道路との高低差がある | 造成や擁壁の要否と規模 | 土地代に上乗せされる工事費の概算 |
| 建ぺい率・容積率の制限 | 希望の延床面積が取れるか | 建てられる最大の大きさと、その形 |
| 北側斜線・高さの制限 | 2階の天井や屋根の形への影響 | 制限をかわした屋根形状と居住性 |
| 接道の幅や位置 | 工事車両が入れるか、駐車が何台取れるか | 駐車計画と、搬入条件による費用の差 |
私は建設資材メーカーに十数年勤めていましたが、現場に資材を入れられるかどうかで工事の段取りが変わる場面は日常的にありました。前面道路が狭くて大型車が入れない敷地では、小分けの搬入や人手での運搬が必要になり、その分が見積もりに乗ります。こうした条件は、土地の広告には書かれていません。
会社を先に絞ると、土地の判断が速くなる
良い条件の土地は、他の購入希望者と競合します。数日で判断を求められることも珍しくありません。そのときに相談できる会社があるかどうかで、動ける速さが変わります。
現地を一緒に見てもらえる
候補の土地が出てきたときに、設計担当や営業担当に現地へ同行してもらえると、確認事項を早く洗い出せます。高低差、隣家との距離、日当たり、搬入経路は現地で確認します。ただし、擁壁の安全性、地盤、上下水道、法令制限は短時間の目視だけでは判断できないため、必要な調査と見積もりを別に依頼します。
建物と土地を合わせた概算を出してもらえる
候補の会社があれば、その土地に建てるプランと建物価格、造成・給排水・搬入などの敷地関連費用を含む概算を依頼できます。土地代が安くても、敷地関連費用を加えると総額が逆転することがあります。地盤改良の要否と金額は地盤調査前には確定しないため、概算では想定条件と予備費を両社で揃えて比べます。
なお、総予算のうち土地にいくらまで充てられるかという配分の考え方は土地と建物の予算配分で詳しくまとめています。この記事は順番の話に絞るため、金額の組み立ては別記事で整理しています。
先に決めるのは「契約」ではなく「絞り込み」
会社を先にといっても、工事請負契約を結ぶ必要はありません。2〜3社に絞り、それぞれに希望と予算を伝えて、土地が出てきたら相談できる関係を作っておけば十分です。契約前であれば、土地が見つからないまま検討を続けても構いませんし、途中で会社を入れ替えることもできます。
何社に絞るのが適切かという点はハウスメーカーの相見積もり完全ガイドで整理しています。土地探しと並行する場合、私は現地確認と概算依頼まで無理なく続けられる2〜3社に絞ります。
【PR】土地が決まる前でも、間取りプランは取り寄せられる
土地探しの段階でも、希望の条件を伝えれば複数社から間取りプランと資金計画を無料で取り寄せられます。各社がどんな家を提案してくるかが分かると、土地を見る目も変わってきます。土地探しからの相談にも対応しています。
会社に相談する前に、自分で決めておくこと
会社を絞る作業に入る前に、自分たちの側で固めておきたいことが3つあります。ここが曖昧なままだと、どの会社からも似たような提案しか出てきません。
- 希望するエリアの範囲(通勤時間や学区で線を引くと絞りやすくなります)
- 土地と建物を合わせた総予算の上限
- 譲れない条件を3つまでに絞ったもの(部屋数、駐車台数、平屋か2階建てかなど)
譲れない条件を多く並べるほど、土地の候補は減ります。私は優先順位をつけ、譲れないものと、あれば嬉しいものを分けます。会社と不動産会社の両方へ同じ条件を書面で渡すと、提案のずれを比較しやすくなります。
土地を先に押さえたほうがよいケース
ここまで会社を先に絞る進め方を書いてきましたが、土地を優先したほうがよい場面もあります。私の考えでは、次のような状況では土地が先に来ます。
エリアが極端に限られている場合
特定の学区に入りたい、親の家の近くがよい、通勤の都合でこの沿線しか選べない、といった条件があると、そもそも売りに出る土地の数が限られます。年に数件しか出ないようなエリアであれば、出てきたときに動けるよう土地を優先する判断もあります。
ただしその場合も、私は事前に2社程度へ相談します。相談先がゼロの状態で購入すると、建物プランや敷地関連費用を確認できないまま土地の判断が先行する可能性があります。
入居時期が決まっている場合
子どもの入学に合わせたい、賃貸の更新時期に合わせたいなど、入居時期に期限がある場合は逆算が必要です。土地探しは期間が読めない工程ですので、先に土地を確保して、そこから工期の短い会社を選ぶという順番が現実的になることがあります。
土地の条件が良く、価格も相場の範囲に収まっている場合
整形地で道路付けがよく、造成の必要がないように見える土地は、プランを検討しやすい傾向があります。それでも、法令制限、上下水道、地盤、隣地境界、越境、搬入条件は会社ごとに確認が必要です。見た目が素直な土地でも、会社が未定のまま安全に購入できるとは判断しません。
逆に、高低差がある、変形している、前面道路が狭い、古家が残っているといった土地は、建物とセットで見ないと総額が読めません。条件が難しい土地ほど、会社を先に決めておく価値が高くなります。
住宅会社に土地を探してもらう場合
建物とセットで話が進む利点
ハウスメーカーや工務店に土地探しを依頼する進め方もあります。不動産部門を持つ会社や、地域の不動産会社と連携する会社であれば、建物の希望を踏まえた候補地の紹介を受けられる場合があります。紹介可能な物件数や情報の入手経路は会社ごとに異なるため、未公開情報を前提にはしません。
この方式の良いところは、土地が出てきた時点で建物の概算までまとめて出てくることです。総額で判断できるため、決断が早くなります。造成が必要な土地でも、その費用を含めた形で提案してもらえます。
気をつけておきたい点
一方で、紹介を受けると、その会社で建てる前提が強まります。土地を探す手間をかけてもらった以上、他社に変えにくいと感じるのは自然なことです。ここを分かったうえで依頼するかどうかが分かれ目になります。
また、紹介された土地は、その会社の建物プランを前提に評価されています。別の工法や規格プランでも同じように建てられるとは限りません。私は候補の2社に同じ物件資料を渡し、プラン、敷地関連費用、調査が必要な項目をそれぞれ書面で出してもらいます。
依頼するときの伝え方
- エリア、予算の上限、広さ、譲れない条件を書面にして渡す
- 複数社に同時に相談している旨を最初に伝えておく
- 土地の紹介を受けた場合、建物の契約とは別に判断したい旨を伝えておく
- 仲介手数料が発生するのか、その場合いくらかを先に確認する
最初に伝えておけば、後で断るときの気まずさはかなり減ります。伝えないまま進めて後から言うほうが、お互いにとって負担になります。
建築条件付き土地は、土地と会社が同時に決まる買い方
一定の期限内に建築請負契約を結ぶことが条件になる
建築条件付き土地は、土地の売主または売主が指定する建設業者と、一定期間内に建築請負契約を締結することを条件とする土地取引です。施工会社の選択肢が指定先に限られるため、土地を選ぶ前に建物の仕様、設計自由度、見積もり条件まで確認します。
広告に表示されている内容を確認する
不動産公正取引協議会連合会の現行規約集では、建築条件付土地の広告について、建築条件付土地取引である旨、建築請負契約を締結すべき期限、条件が成就しない場合は土地売買契約を解除し、土地購入者から受領した金銭を名目にかかわらず全て遅滞なく返還する旨などの表示を求めています。
規約は一律の月数を示すのではなく、設計協議に必要な相当の期間を経過した日以降に期限を設定する考え方を示しています。私は広告と土地売買契約書を照合し、期限の日付、協議できる回数、条件不成就時の解除手続き、返還時期を確認します。
その期限内に仕様と金額を決めきれるか
建築条件付き土地で判断が要るのは、定められた期限までに間取り、仕様、金額へ納得できるかどうかです。私は土地を契約する前に、次の点を書面で確認します。
- 建築請負契約を結ぶまでに、何回の打ち合わせが予定されているか
- 標準仕様の内容と、どこまで変更に応じてもらえるか
- 期限までに合意できなかった場合、返還される金銭の範囲と手続き
- 設計や地盤調査の費用が、条件不成就のときにどう扱われるか
指定会社の標準仕様、変更範囲、総額に納得できる場合、建築条件付き土地は候補になります。複数社の建物を比較してから選びたい場合は、土地の魅力だけで決めません。各社の標準仕様の違いはハウスメーカーの標準仕様充実度を比較した記事で整理しています。
土地探しと会社選びを並行して進めるときの段取り
実際には、土地も会社も同時に動かします。所要期間は物件数、設計の進み方、融資条件によって変わるため、一律の月数ではなく判断段階で整理します。
| 判断段階 | 会社側で進めること | 土地側で進めること |
|---|---|---|
| 条件整理 | 候補会社の対応エリアと予算帯を確認する | エリア、総予算、譲れない条件を整理する |
| 比較準備 | 2〜3社に要望を渡し、相談体制を作る | 相場を調べ、不動産会社へ同じ条件を登録する |
| 候補地の確認 | 同じ土地でプラン、敷地関連費用、調査項目を出してもらう | 法令、境界、上下水道、擁壁、越境などを確認する |
| 契約判断前 | 建物を含む総額と契約条件を比較する | 買付条件、売買契約、融資条件を確認する |
土地の買付を入れる前に済ませておくこと
買付申込を入れると、そこから契約までは早く進みます。その前に次の3つを終えておくと、後戻りが少なくなります。
- その土地に建てた場合の建物の概算を、候補の会社から出してもらう
- 造成、地盤改良、上下水道の引き込みなど、土地の条件で発生する費用を確認する
- 土地と建物を合わせた資金計画を作り、金融機関へ事前審査に必要な資料と審査対象額を確認する
3つ目は特に大切です。事前審査に必要な土地資料や建物見積もり、土地代と建築費の扱い、融資実行時期は金融機関と商品で異なります。私は買付前に金融機関へ確認し、土地売買契約の融資利用特約も不動産会社から書面で説明を受けます。家づくり全体の流れは注文住宅を建てる流れ・手順で整理しています。
古家が建っている土地を検討する場合
候補地に古い建物が残っている場合は、解体をいつ誰が行うかで条件が変わります。解体費用の負担、地中障害物が見つかった場合の扱い、融資実行時期との関係など、確認項目が増えます。古家付き土地を買って注文住宅を建てる費用で別に整理しています。
よくある質問
気に入った土地が先に見つかった場合はどうすればよいですか
その場合は、会社選びを急いで進めることになります。私は候補の会社へ同じ物件資料を送り、現地確認と概算の期限を揃えて依頼します。時間が足りないときは、不動産会社へ建物の確認状況を伝え、売主が判断を待てる期限を確認します。
親の土地に建てる場合も会社選びは同じ考え方でよいですか
土地を探す工程がない分、会社選びに時間をかけられます。ただし、前面道路の幅、高低差、既存建物、法令制限、会社の対応エリアによっては、候補が限られます。私は早い段階で候補会社へ物件資料を渡し、現地確認を依頼します。
不動産会社とハウスメーカーの両方に土地を探してもらってもよいですか
不動産会社と住宅会社の両方へ依頼できます。ただし、同じ土地を別々の窓口から紹介される場合があります。私は紹介元、受領日、担当窓口を記録し、それぞれへ他の窓口でも探している旨を伝えます。仲介や申込みの窓口を一本化すると、やり取りを整理しやすくなります。
土地が見つからないまま時間だけが過ぎています
条件の優先順位を見直す時期です。私はエリア、広さ、駅からの距離、価格を一度に緩めず、一項目ずつ条件を変えて候補数を確認します。建物予算を見直す場合は、土地へ回せる額だけでなく、必要な性能と総返済額も再確認します。価格帯の違いは坪単価帯で選ぶ記事で整理しています。
会社を先に決めると、土地の値段交渉で不利になりませんか
建物の会社を絞ったことだけで、土地価格の交渉結果は決まりません。売主の事情、他の買付、提示条件、引渡し時期などでも変わります。建物概算と資金計画を準備しておく利点は、値引きが有利になることではなく、無理のない買付条件を早く判断できることです。事前審査済みでも売買成立や融資実行が保証されるわけではありません。
まとめ:相談相手を作ってから土地を見る
土地と会社の順番について、押さえておきたいのは次の3点です。
- 土地の良し悪しは、その土地に建てる家のプランを描いてみないと判断できない
- 会社を2〜3社に絞っておくと、候補地が出たときに現地確認と概算をすぐ頼める
- 先に決めるのは契約ではなく絞り込みなので、途中で入れ替えても構わない
土地探しは、想定した順番どおりに進まないこともあります。それでも、相談できる2〜3社を先に作っておけば、候補地が出たときに同じ条件でプランと概算を比較できます。私なら土地探しを始める前に、各社の対応エリア、予算帯、土地確認の体制まで見比べます。
契約段階で確認したい項目は注文住宅の契約前に確認すべき12のチェックリストにまとめています。
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