ハウスメーカーの断熱・気密性能を比較するとき、多くの人がまずUA値やC値という数字を並べて「数字が良い会社が良い会社」と考えがちです。私が実際に9社と商談して感じたのは、数字の高さそのものよりも「その数字を誰が測定し、どこまで公表しているか」という姿勢の違いのほうが、商談を進めるうえで重要な判断材料になるということです。この記事では、私が商談した9社の断熱・気密性能を、2026年7月時点で各社の公式サイトから確認できた範囲で整理し、公表の姿勢の違いから見えてくる商談の進め方を解説します。商品・地域・間取りによって性能値が変わる場合があるため、数値は候補を絞るための入口としてご覧ください。
この記事でわかること
- 断熱等級7に対応する仕様と、各社の標準仕様の違い
- 気密性能(C値)を全棟測定・公表している会社
- 公式に具体的な数値を公開していない会社との商談での向き合い方
- 断熱・気密の数値だけで判断しないための注意点
UA値・C値・断熱等級の基礎知識
UA値(外皮平均熱貫流率)は建物からどれだけ熱が逃げやすいかを示す数値で、小さいほど断熱性能が高いことを意味します。断熱等級は国の省エネ基準に基づく等級で、現在の最高等級は等級7です。C値(相当隙間面積)は建物の気密性能を示す数値で、こちらも小さいほど気密性が高いことを意味します。ただしC値は設計値ではなく、実際に施工した建物を一棟ずつ測定しないとわからない数値のため、「全棟測定しているか」「実測値を公表しているか」が会社選びの判断材料になります。
比較表を見る前に押さえたい3つの前提
同じUA値でも断熱等級は地域によって変わる
断熱等級の判定基準は全国一律のUA値ではなく、省エネ地域区分ごとに設定されています。そのため「UA値0.28だから全国どこでも断熱等級7」とは限りません。国土交通省の断熱性能表示でも地域による基準差が示されています。建築予定地の地域区分をそろえて比較することが前提です。
標準仕様と上位仕様を混ぜて比較しない
公式サイトには、会社の標準仕様ではなく上位商品やモデルプランの最高値が大きく掲載されることがあります。見積もりに含まれる断熱材、窓、玄関ドア、換気設備が、掲載されている性能値と同じ仕様かを確認しましょう。比較表には「標準」「上位商品」「参考モデル」の区分が必要です。
平均C値と保証値、自宅の実測値は別物
平均C値は過去に測定した複数棟の平均であり、これから建てる家の数値を保証するものではありません。比較するときは、全棟測定か、基準を超えた場合に再施工するか、保証上限はいくつか、測定結果報告書を受け取れるかを確認します。完成後では補修箇所を特定しにくいため、測定時期も聞いておくと安心です。
断熱等級7の仕様を公式に確認できる会社
私が商談した9社の中では、一条工務店、ヤマト住建、クレバリーホームで、断熱等級7に対応する仕様を公式情報から確認できました。ただし、標準仕様か上位仕様か、また建築地やプランによる条件があるかは会社ごとに異なります。
一条工務店は、i-smartの公式商品ページで断熱等級7を標準と案内しています。一方で、公式ページには「建築地やプラン、採用する仕様によっては断熱等級7を満たせない場合がある」という注記もあります。共通のUA値を断定せず、検討中の間取りと建築地で断熱等級7を満たすか確認するのが確実です。
ヤマト住建は、エネージュUWの公式ページでUA値0.28を掲載しています。また、2025年9月8日に発売したLEGANTIAはUA値0.25・断熱等級7です。同じ会社でも商品によって性能表示が異なるため、見積もり対象の商品名までそろえて比較する必要があります。
クレバリーホームは標準仕様でUA値0.46以下を掲げ、上位商品「ENELITE」では公式ページにUA値0.26・HEAT20 G3水準と掲載しています。標準仕様と上位仕様では性能も見積金額も変わるため、商品名と採用仕様の確認が欠かせません。
| 会社名 | 公式に確認できた内容 | 確認時の注意点 |
|---|---|---|
| 一条工務店 | i-smartは断熱等級7標準 | 建築地・プラン・仕様による例外あり |
| ヤマト住建 | エネージュUWはUA値0.28、LEGANTIAはUA値0.25・断熱等級7 | 商品ごとに表示性能が異なる |
| クレバリーホーム | ENELITEはUA値0.26・HEAT20 G3水準 | 上位商品として確認 |
標準仕様の断熱性能を公表している会社
標準仕様の断熱性能を具体的に案内している会社として、アイ工務店・クレバリーホーム・ダイワハウスを確認しました。ただし、UA値は地域やプランによって変わり、上位仕様を選べる会社もあります。
アイ工務店は、公式サイトでUA値0.28以下・平均実測C値0.32以下と案内しています。N-eesは充填断熱と外張り断熱を組み合わせたダブル断熱が特徴ですが、プランによって一部仕様が異なるという注記があるため、契約予定のプランで確認が必要です。
クレバリーホームは標準仕様でUA値0.46以下を掲げ、上位のENELITEではUA値0.26・HEAT20 G3水準に対応します。比較表や見積もりを見る際は、標準仕様と上位商品の数値を混同していないか確認しましょう。
ダイワハウスは、公式サイトで主力の戸建注文住宅に断熱等級6を標準化したと案内しています。ただし、間取り・仕様・地域などによって対応できない場合があります。木造・鉄骨という構造だけで性能を決めつけず、検討商品の標準断熱仕様と契約プランのUA値を確認することが大切です。
| 会社名 | 標準UA値・断熱等級 | 上位仕様 |
|---|---|---|
| アイ工務店 | UA値0.28以下を公式掲載 | プランによる仕様差を確認 |
| クレバリーホーム | 標準仕様でUA値0.46以下 | ENELITEはUA値0.26・HEAT20 G3水準 |
| ダイワハウス | 主力戸建注文住宅で断熱等級6を標準化 | 間取り・仕様・地域による例外あり |
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気になる会社が2〜3社に絞れたら、それぞれのプランでUA値・C値を再計算してもらうのが確実です。まずは一括で資料を集めて、比較の土台を作ることから始められます。
気密性能(C値)を公表している会社
断熱性能とあわせて確認したいのが気密性能です。今回確認した範囲では、アイ工務店、ヤマト住建、桧家住宅が全棟測定や平均実測値を公式サイトで案内しています。平均値と、自分の家で保証される上限値は別の数字なので、分けて確認しましょう。
アイ工務店は全棟でC値測定を行い、平均実測値0.32、約束値0.5以下と公式サイトで案内しています。
桧家住宅は全棟気密測定を実施し、実測平均C値0.31と公式サイトで公表しています。断熱材の仕様は地域や商品によって異なるため、UA値を重視する場合は建築地と商品を指定して確認したほうがよいです。
ヤマト住建は公式サイトで2025年度全棟平均C値0.29を掲載しています。LEGANTIAについてはC値0.5以下の保証も案内されています。一条工務店を含め、平均値だけでなく、全棟測定の有無、保証値、測定時期、測定結果報告書の受け取り可否まで確認すると比較しやすくなります。
公表内容が商品・地域によって異なる会社
パパまるハウス・ヤマダホームズ・泉北ホームは、断熱・気密への取り組みを公式サイトで案内しています。ただし、商品・地域・プランによって公表される項目が異なるため、全国共通の数値として一括りにしないほうが安全です。
パパまるハウスは公式サイトで現場吹き付け断熱材「アクアフォーム」と、施工後の気密測定を案内しています。ただし、今回確認したページでは共通のUA値・基準C値までは確認できなかったため、商品と建築地を指定して尋ねる必要があります。
ヤマダホームズは主力のRASIO公式ページでW断熱の標準採用と全棟気密測定を案内しています。商品はカスタマイズによって仕様が変わるため、選択するグレードでのUA値・C値・断熱等級を確認しましょう。
泉北ホームは公式サイトでUA値0.6以下・C値1.0以下、HEAT20 G1以上を標準仕様とし、断熱等級7まで選択できると案内しています。UA値は自社モデルプランでの算出値で、間取り・建築地によって異なるという注記があるため、契約予定プランでの再計算が必要です。
これらの会社が性能面で劣っているわけではなく、公表の仕方が会社ごとに異なるだけです。数字が出ていない会社と商談するときは、遠慮せずに実測値の有無を尋ねる姿勢が大切です。
業界目線での注意点
建設資材メーカーに勤務していた経験から言うと、公式サイトに掲載されているUA値の多くは、自社のモデルプランで算出した参考値です。実際の間取りや窓の配置、建築地の地域区分によって数値は変わります。見積もり段階で提示されるUA値は、契約する間取りそのものの数値ではないケースが多いため、「このプランでのUA値はいくつですか」と個別に確認することが実務的には重要です。
商談で確認すべき質問チェックリスト
- 提示されたUA値は自分の間取りで算出した数値か、モデルプランの参考値か
- C値は全棟測定か、抜き取り測定か、測定していないか
- 断熱等級は標準仕様のままの数値か、オプション込みの数値か
- 窓の仕様(サッシ・ガラス)はUA値算出にどこまで含まれているか
- 上位グレードにした場合の坪単価差はどの程度か
商談を通じて感じたこと
私自身、商談の初期段階では各社が提示するUA値の一覧表だけを見比べていました。ただ実際に契約プランで再計算してもらうと、モデルプランの数値より悪化するケースがあり、数字だけを鵜呑みにする怖さを実感しました。最終的には、数値そのものよりも「契約前の間取りで再計算してくれるか」「C値を実測して見せてくれるか」という姿勢を重視するようになりました。
優先順位別に向いている会社
| 優先したいこと | 候補となる会社 |
|---|---|
| 断熱等級7の仕様を比較したい | 一条工務店・ヤマト住建(LEGANTIA)・クレバリーホーム(ENELITE) |
| 標準仕様でバランスよく高断熱を求めたい | アイ工務店・クレバリーホーム・ダイワハウス |
| 価格を抑えつつ高気密住宅を検討したい | パパまるハウス・桧家住宅 |
| 坪単価帯とあわせて幅広く比較したい | 泉北ホーム・ヤマダホームズ |
関西エリアで断熱・気密を検討するときの留意点
関西エリアは温暖地(主に5〜6地域)に区分されるため、寒冷地仕様のオプションが必須にならないケースが多く、標準仕様のままでも比較的高い断熱性能を確保しやすい地域です。一方で夏場の日射取得を抑える窓配置や庇の設計は断熱等級の数値だけではわからない部分のため、モデルハウス見学時に日射対策をあわせて確認しておくとよいです。
よくある質問
UA値とC値、どちらを優先すべきですか
断熱(UA値)は光熱費、気密(C値)は換気計画の効きやすさに関わります。どちらか一方だけでなく、両方の数値をセットで確認することをおすすめします。
断熱等級7でないと性能不足になりますか
断熱等級6はZEH水準を上回る断熱性能ですが、必要な水準は地域、間取り、窓、設備、暮らし方によって変わります。等級6と7の光熱費差を一律の金額で示すことは難しいため、同じ間取り・設備条件で会社ごとにシミュレーションを出してもらい、初期費用と比較するのが現実的です。
C値を公表していない会社は避けたほうがいいですか
公表していないことが、そのまま性能の低さを意味するわけではありません。商談時に個別の実測値を確認できるかどうかで判断する材料になります。
モデルハウスのUA値をそのまま信じていいですか
モデルハウスの数値はあくまで参考値です。契約するプランで再計算してもらうことをおすすめします。
断熱性能が高いと坪単価はどれくらい上がりますか
追加費用は、断熱材だけでなく窓・玄関ドア・換気設備・施工範囲まで変わるかによって大きく異なります。「断熱グレード一式」の金額だけでなく、標準仕様から何が変わるのかを項目別に見積もってもらいましょう。
関西エリアでも断熱性能にこだわる必要はありますか
温暖地でも夏の暑さ対策として断熱・気密性能は光熱費に影響します。地域区分にかかわらず数値を確認する価値はあります。
まとめ
断熱・気密性能を比較するときは、UA値・C値の数字そのものだけでなく、標準仕様と上位仕様の違い、プランごとの再計算、全棟気密測定の有無まで確認することが大切です。断熱等級7の仕様は一条工務店・ヤマト住建・クレバリーホームで確認でき、断熱等級6を標準化している会社にはダイワハウスなどがあります。気密性能では、アイ工務店・ヤマト住建・桧家住宅が平均実測値を公式に案内しています。候補を絞り込んだら、必ず同じ間取り条件で比較してください。坪単価帯からの絞り込みはこちらの記事でも整理しています。
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