地震に強い家を建てるためにできること【2026年版】土地選び・商談段階のチェックポイントを施主が解説

地震に強い家を建てるための土地選び・商談チェックポイント
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2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生しました。宇城市と氷川町では最大震度7を観測し、建物の倒壊などの被害が確認されています。被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

建ってしまった家の耐震性を後から大きく変えることは簡単ではありません。一方で、これから注文住宅を検討する方であれば、土地選びと商談の段階でしか確認できない地震対策がいくつもあります。結論から言うと、私なら、土地を決める前に活断層とハザードマップを確認し、商談の初期段階でハウスメーカーに地盤調査の方法を質問します。この記事では、建設資材メーカーに十数年勤務し、8社以上のハウスメーカーと商談した経験から、家を建てる前にできる地震対策を整理しました。

目次

この記事でわかること

  • 土地選びの段階で確認しておきたい地震リスクの調べ方
  • 地盤調査で見ておきたいポイント
  • 商談段階でハウスメーカーに確認しておきたい質問
  • 耐震等級以外にも目を向けたい視点
  • 制振ダンパーの採用を検討するかどうかの考え方

耐震等級1・2・3の違いや、耐震・制震・免震の仕組みについては、別記事「耐震等級1・2・3の違いと注文住宅での選び方」で詳しく解説しています。この記事では、そちらでは扱っていない「建てる前の段階」に絞って整理します。

なぜ「建てる前」の対策が重要なのか

家が建った後にできる地震対策は、耐震補強や家具の固定など、建物や室内に関するものに限られます。一方で、土地そのものが持つ地震リスク(地盤の弱さ、活断層との位置関係、液状化のしやすさ)は、建てた後から作り直すことができません。

ハウスメーカーの担当者と話していると、耐震等級や構造の話は詳しく説明してくれる一方で、土地そのものの地震リスクについては「地盤調査をしてから判断します」という説明で終わることが少なくありません。戸建住宅で一般的な地盤調査は、地盤の硬軟や締まり具合などを調べ、基礎や地盤改良を検討するためのものです。活断層の位置や液状化の発生傾向まで一つの調査で確認できるわけではないため、施主側でも公開情報を事前に調べておく必要があります。

土地選びで確認しておきたい地震リスク

活断層の調べ方

国が把握している主要な活断層の位置は、地震調査研究推進本部(地震本部)の評価資料や、国土地理院の「活断層図」で確認できます。検討中の土地を地図上で表示すると、周辺に把握済みの活断層があるかを確認できます。活断層の直上や近傍では、強い揺れに加えて地表のずれによる影響も考える必要があるため、土地を決める前に確認しておく価値があります。

ただし、活断層は地表に痕跡が現れていないものも多く、公開されている図に載っていないからといって安全とは言い切れません。あくまで「分かっている情報の範囲での確認」という前提で見る必要があります。

地震ハザードマップ・地域のリスクの見方

市区町村が公開している地震ハザードマップでは、想定震度・地域危険度・火災リスクなどが地図上で示されることがあります。掲載項目は自治体によって異なります。検討中の土地は、市区町村の防災マップと国の「重ねるハザードマップ」の両方で確認すると、洪水・土砂災害・津波なども含めて立地を見やすくなります。

地震ハザードマップは自治体ごとに掲載項目や更新時期が異なります。土地の候補が絞れた段階で、その土地がある市区町村の窓口に最新資料の有無を確認すると、Web上で見つけにくい資料も含めて確認できます。

液状化リスクの見分け方

液状化は、地下水位が高い緩い砂地盤などに強い揺れが加わったときに起きやすい現象です。国土交通省は、地形区分に基づく相対的な「液状化の発生傾向図」を公開しています。目安として、以下のような土地では自治体の液状化予測図や地形分類を丁寧に確認します。

  • 旧河道・旧池沼などを埋め立てた土地
  • 低地の盛土造成地や、砂などを採取した後に埋め戻した土地
  • 砂州間低地など、液状化が起きやすい地形区分に該当する土地
  • 埋立地・干拓地

自治体が「液状化予測図」を公開している場合は、そちらも確認します。あわせて、国土地理院の旧版地形図や過去の空中写真を調べると、以前の土地利用や地形改変を知る手がかりになります。地名だけで液状化の有無を判断せず、地形分類・自治体資料・必要に応じた専門調査を組み合わせることが重要です。

造成履歴(盛土・切土)を確認する方法

谷や斜面を埋めた盛土造成地では、地震時に盛土の大部分が滑る「滑動崩落」が起きた事例があります。ただし、盛土だから直ちに危険と決められるわけではなく、造成方法、排水、地盤の状態などを個別に見る必要があります。造成履歴は、不動産会社や売主に尋ねるほか、国土地理院の空中写真で造成前後を見比べる方法があります。数十年前の写真と現在の写真を比較すると、谷や斜面を埋めて造成した土地かを推測する手がかりになります。

大規模な盛土造成地は、国や自治体が公開する「大規模盛土造成地マップ」で確認できます。ただし、このマップは盛土の概ねの位置と規模を示すものであり、掲載箇所がすべて危険という意味ではありません。該当した場合は、自治体による追加調査や安全対策の状況まで確認します。

現地を訪れるときに見ておきたいポイント

活断層図やハザードマップは机上の情報ですが、実際に現地を歩いてみることでしか分からない手がかりもあります。土地の見学に行く際は、以下のような点にも目を向けてみてください。

  • 敷地内や隣接地に段差やひび割れが目立たないか
  • 擁壁がある場合、コンクリートの劣化やひび割れ、水抜き穴の詰まりがないか
  • 敷地と道路、隣地との高低差が大きくないか
  • 擁壁の確認済証・検査済証や補修履歴を提示してもらえるか
  • 近くに川や水路があり、堤防や護岸の高さと敷地の高さの関係はどうか

これらは専門的な調査ではなく、あくまで施主自身の目で確認できる範囲の手がかりです。気になる点があれば、地盤調査や不動産会社への質問を通じて、専門家の判断を確認する流れが有効です。

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地盤調査で確認しておきたいポイント

戸建住宅では、建物の配置が決まった後に「スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)」が使われることがあります。地盤の硬軟や締まり具合などを把握する調査ですが、この試験だけで液状化リスクを判定できるわけではありません。地震対策という観点では、以下の点を担当者に確認します。

  • 調査結果のどの数値が改良の判断基準になっているか
  • 液状化の発生傾向が高い土地では、どの追加調査を検討するか
  • 地盤改良が必要になった場合の工法と費用の目安
  • 調査結果の報告書は施主にも渡してもらえるか

地盤改良の要否や費用については、契約前に確認すべき項目として「注文住宅の契約前に確認すべき12のチェックリスト」でも取り上げています。あわせて確認しておくと、資金計画の見通しが立てやすくなります。

なお、地盤の弱さは地震以外にも追加費用の要因になります。土地価格が周辺より安い場合の背景については「安く見える土地で追加費用が出る理由」でも詳しく整理していますので、あわせて読むと土地選び全体の判断材料が増えます。

商談段階でハウスメーカーに確認しておきたい質問

耐震等級の取得有無は多くの担当者が説明してくれますが、それ以外にも、商談の早い段階で聞いておくと判断材料が増える質問があります。

確認したいこと質問例
地盤調査のタイミング建物配置を決めた後、いつ・どの方法で地盤調査を行いますか
液状化への対応液状化の可能性がある土地の場合、どのような追加調査・対策を提案していますか
耐震性の確認方法壁量計算に加えて、許容応力度計算まで行いますか。耐震等級はどの方法で確認しますか
地震後の保証・対応大きな地震で建物に不具合が出た場合、保証や点検の体制はどうなっていますか
過去の対応実績過去の大きな地震の際、施工した建物にどのような相談が寄せられましたか

特に「耐震性をどの方法で確認するか」は見落とされやすい質問です。2025年4月以降、2階建て木造住宅などは建築確認の審査対象が見直され、壁量基準も建物の重量に応じた基準へ変わりました。一方、一定規模以下の木造住宅は構造計算が一律に義務付けられているわけではありません。建築基準法上の壁量計算に加えて許容応力度計算まで行うか、耐震等級をどの方法で確認するかを聞くと、設計の裏付けを比較しやすくなります。制度の概要は国土交通省の「改正建築物省エネ法オンライン講座」でも確認できます。

耐震等級だけで安心しない、という視点

耐震等級3を取得していても、液状化や盛土の滑動崩落など、建物単体の耐震性能だけでは対応しきれない地盤リスクが残る場合があります。逆に、地盤条件に大きな懸念がなくても、耐震等級の確認方法や構造計算の範囲を把握していなければ、会社ごとの設計方針を比較しにくくなります。

私自身は、家を建てる際に耐震等級3を選びました。その理由や工法ごとの違いは別記事に詳しく書いていますが、等級を選ぶ以前の段階として、土地の情報を先に集めておいたことが、その後の商談での質問の的を絞る助けになりました。私が確保した土地は家族名義のもので購入という形は取っていませんが、それでも活断層やハザードマップの情報は自分で確認しました。土地を新たに探す場合は、なおのこと早い段階で調べておく価値があります。

制振ダンパーの採用も検討する価値

南海トラフ巨大地震の発生が想定されていることを踏まえると、耐震等級だけでなく、制振ダンパーの採用もあわせて検討する価値があると考えています。ただし、これは予算に余裕がある場合の話です。まずは活断層・ハザードマップの確認、地盤調査、耐震等級の取得といった基本を押さえたうえで、余力があれば検討する位置づけです。

制振ダンパーの仕組みや耐震・免震との違いは「耐震等級1・2・3の違いと注文住宅での選び方」で解説しています。この記事では、商談段階で確認しておきたいポイントに絞ります。

私が商談した中でも、制振ダンパーの扱いは会社によって差があるという印象を持っています。標準仕様に含まれている会社もあれば、有償オプションとして提案される会社もあります。次の点を、商談の早い段階で確認しておくと、後から検討する際の判断材料になります。

  • 制振ダンパーは標準仕様か、有償オプションか
  • オプションの場合、検討中の工法・商品シリーズで採用できるか
  • 設置できる基数や設置箇所に上限・条件があるか
  • 採用する場合の費用の目安と、耐震等級への影響

制振ダンパーを採用しなくても、耐震等級3を確保していれば一定の耐震性は確保できます。予算配分に迷う場合は、まず地盤・耐震等級を優先し、制振ダンパーは余力があれば検討する、という順番で判断すればよいと考えています。

地震保険を検討し始めるタイミング

地震保険は単独では契約できず、火災保険に付帯して契約します。詳しい選び方は別のテーマとして扱いますが、建築請負契約が固まり始めた段階で、火災保険の見積もりとあわせて地震保険の条件も確認しておくと、引き渡し直前になって慌てずに済みます。耐震等級割引は、等級1が10%、等級2が30%、等級3が50%です。

地震保険の割引を受けるには、住宅性能評価書や所定の適合証明書など、対象建物の耐震等級を確認できる資料が必要です。利用できる資料は契約条件によって異なるため、日本損害保険協会の「地震保険の割引制度」と保険会社の案内を確認します。後から書類の発行や再提出が必要にならないよう、建築請負契約の段階で、取得する制度と書類名を担当者に確認しておくとスムーズです。

業界経験から見た「地震に強い家」の目利き

建設資材メーカーに勤務していた経験から言うと、同じ「耐震等級3」という表記でも、等級を確認する方法や構造計算の範囲、金物・接合部の設計方針には会社ごとの違いがあります。カタログの等級表記だけを比べるのではなく、土地の地震リスクを自分で調べたうえで、耐震性の確認方法や地盤調査の進め方を担当者に質問し、その回答の具体性を比べることが、会社を見極める一つの手がかりです。

8社以上のハウスメーカーと商談した実感として、地盤や構造計算について踏み込んだ質問をしたときの回答の速さと具体性は、会社によって差が出やすいポイントの一つでした。即答できない場合でも、後日きちんと調べて回答してくれるかどうかは、引き渡し後も含めた対応力を見る材料になります。

世帯構成による優先度の違い

地震対策にどこまで時間と費用をかけるかは、世帯構成によっても変わってきます。目安を以下の表に整理しました。

世帯構成優先したいポイント
子育て世帯数十年単位で住み続ける前提で、活断層・液状化リスクを確認し、耐震等級3をあわせて検討します
共働き・二人暮らし世帯予算とのバランスを見ながら、ハザードマップと地盤調査結果を確認します
二世帯住宅同居する家族の人数分、避難のしやすさや家具の配置も含めて確認範囲を広げます
建て替え世帯長年住んでいる土地でも、活断層図やハザードマップの情報が更新されていないか見直します

モデルケース:土地探しから引き渡しまでの確認タイミング

いつ・何を確認すればよいか分かりにくいという声をよく聞くため、時系列で整理しました。

段階確認しておきたいこと
土地探しの初期候補エリアの活断層図・地震ハザードマップを一通り確認します
土地の候補が絞れた段階現地を訪れ、造成履歴と市区町村の最新情報を確認します
土地の売買契約前地盤調査を契約前に実施できるか、売主・施工会社に相談します
建物配置が決まった段階地盤調査を実施し、液状化の発生傾向が高い場合は追加調査の要否を相談します
ハウスメーカーとの商談初期耐震性の確認方法と地盤改良の判断基準について質問します
建築請負契約が固まる段階火災保険・地震保険の見積もりを取り、割引条件と必要書類を確認します
着工〜引き渡し地盤改良・基礎工事の記録や写真を施主側でも保管します

まとめ:地震対策は土地選びと商談の段階から始まっている

耐震等級や構造の話は建物本体の話であり、多くのハウスメーカーが詳しく説明してくれます。一方で、活断層・ハザードマップ・液状化・造成履歴といった土地そのものの地震リスクは、施主自身が土地選びの段階で調べておかないと、後から変えることができません。私なら、土地を決める前に活断層とハザードマップを確認し、地盤調査の方法と耐震性の確認方法を商談の初期段階でハウスメーカーに質問します。土地と建物を分けず、同じ候補ごとに確認事項を残して比較することが重要です。

よくある質問

Q. 活断層の近くの土地は避けたほうがよいですか

活断層の位置だけで一律に判断できるものではありません。ただし、断層の直上や近接した土地では、地震本部や自治体の情報を確認したうえで、専門家に相談する価値があります。立地条件や予算とのバランスを見ながら、リスクを把握したうえで選ぶことが大切です。

Q. ハザードマップに載っていない土地は安心できますか

ハザードマップは、現時点で分かっている情報をもとに作られているものであり、掲載されていないからといってリスクがゼロとは言い切れません。地盤調査の結果や造成履歴もあわせて確認し、複数の情報源で総合的に判断することが重要です。

Q. 中古の建て替えでも同じ確認は必要ですか

建て替えの場合でも、土地そのものの地震リスクは新規購入の土地と同じように確認する価値があります。長く住んでいる土地であっても、活断層やハザードマップの情報は後から更新されていることがあるため、建て替えを検討し始めたタイミングで一度見直しておくと安心材料になります。

Q. 地震保険は耐震等級3でなくても加入できますか

耐震等級に関わらず地震保険には加入できます。等級による違いは保険料の割引率であり、等級1でも加入自体は可能です。割引を受けたい場合は、契約前に必要書類の取得方法を担当者に確認しておくと手続きがスムーズです。

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この記事を書いた人

運営者:匠(たくみ)
関西在住。建設資材メーカーに勤務しながら、注文住宅を建てた施主です。

自身の家づくりで膨大な時間をかけて情報収集し、時には工務店とのトラブルも経験しました。その教訓から「施主側に立った、忖度なしの本音」を発信しています。
読者ファーストを貫き、自分が納得したものだけを厳選して紹介。後悔しない家づくりを一緒に目指しましょう!

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