展示場を回っていると、どの会社でも「弊社は耐震等級3です」という説明を受けます。9社と商談した私も、ほぼ全社から同じ言葉を聞きました。ところが各社の公式サイトを並べて読み比べると、同じ「耐震等級3」という言葉の中身が、会社によってはっきり違うことがわかります。
結論から言うと、私なら「耐震等級3ですか」ではなく「どの計算方法で、全棟ですか、それともプラン次第ですか」と聞きます。この聞き方に変えるだけで、各社の回答に差が出ます。実際、各社が自社サイトに書いている内容は、この2点でグループが分かれています。
興味深いのは、条件や制約を自ら注記している会社があることです。「プランによっては最高等級にならない場合があります」と書いている会社もあれば、何も書いていない会社もあります。この注記の有無は、施主にとって判断材料になります。
この記事では、私が商談した会社のうち、公式情報で具体的な記載を確認できた7社の耐震等級の扱いを整理します。耐震等級そのものの意味や取得手続きは耐震等級1・2・3の違いと注文住宅での選び方で扱っているので、この記事は各社の実際の記載に絞ります。
【PR】耐震等級の扱いは、同じ条件で聞かないと比べられません
同じ間取りの希望を複数社に伝えると、その条件で等級3が維持できるのかどうかが会社ごとに返ってきます。プランと資金計画をまとめて取り寄せると、条件をそろえた比較ができます。
この記事でわかること
- 同じ「耐震等級3」が会社によって分かれる3つの条件
- 公式情報で記載を確認できた7社の耐震等級の扱い
- 許容応力度計算を明示している会社と、壁量計算と書いている会社
- 「等級3」と「等級3相当」を使い分けている会社があること
- プランによる制約を自ら注記している会社の読み取り方
- 商談でそのまま使える確認の聞き方
結論:「耐震等級3」の一言では各社の差は見えない
先に結論を述べます。各社の公式情報を読み比べた私の評価は、「耐震等級3を掲げているかどうか」で会社を選ぶ意味は小さい、というものです。ほとんどの会社が掲げているためです。
差が出るのは、その等級3をどう実現し、どこまで適用するかという部分です。私が確認した範囲では、次の3つの条件で会社が分かれていました。
- どの計算方法で等級3を確認しているか(許容応力度計算か、壁量計算か)
- 「耐震等級3」と書いているか、「耐震等級3相当」と書いているか
- 全棟に適用されるのか、プランによって変わるのか
この3点は、いずれも各社が自社の公式サイトに書いている内容から読み取れます。営業担当に聞く前に、自分で下調べできる部分です。
比較の前に、条件を分ける3つの軸
各社を見る前に、3つの軸の意味を短く整理します。制度そのものの詳しい説明は耐震等級1・2・3の違いと注文住宅での選び方に譲ります。
①計算方法
耐震等級を確認する計算方法にはいくつか種類があり、手間と精度が異なります。壁の量を基準にした計算と、柱の位置や梁の大きさ、荷重のかかり方まで細かく確認する許容応力度計算とでは、確認する範囲が違います。
この違いを、会社側が自ら説明しているケースがあります。クレバリーホームは公式サイトで、許容応力度計算は耐力壁だけでなく柱の位置や梁の大きさ、荷重のかかり方や建物の歪み、上下階の直下率まで確かめる計算方法であり、時間や費用がかかるため多くの住宅会社では採用されない傾向があると説明しています。
②「等級3」と「等級3相当」
公式サイトの文章を読むと、「耐震等級3」と書いている会社と、「耐震等級3相当」と書いている会社があります。表現には違いがありますが、どちらの表記であっても、それだけで個別住宅の第三者評価書の取得有無までは判断できません。「相当」は、その水準を満たす設計であるという趣旨で使われることが多いため、評価書を取得する場合の手続きと費用を別に確認する必要があります。
地震保険の耐震等級割引には所定の確認資料が必要です。会社サイト上の「等級3」「等級3相当」という表現だけで判断せず、住宅性能評価書など対象となる書類が発行されるかを確認することが実務上は重要です。確認資料の種類は日本損害保険協会の地震保険に関する案内でも確認できます。
③全棟か、プラン次第か
3つ目が、施主にとってもっとも影響が大きい軸です。「全棟で等級3」と書いている会社と、「プランによっては最高等級にならない場合がある」と注記している会社があります。
大きな窓や吹き抜け、1階に壁の少ない間取りを希望する場合、この違いがそのまま自分の家に効いてきます。展示場での「標準で等級3です」という説明だけでは、この部分は判断できません。
公式情報で確認できた7社の耐震等級
商談した9社の公式サイトを確認し、耐震等級について記載を確認できた7社を一覧にします。表の内容は各社が公表している表現に沿って整理したものです。
| 会社 | 公式サイトでの表現 | 計算・検証情報 | 条件・注記の有無 |
|---|---|---|---|
| 一条工務店 | 耐震等級3をすべての商品タイプ・建物で標準仕様 | 実大耐震実験の実績を提示 | 公式ページに例外注記なし |
| 泉北ホーム | 耐震等級3を超える基準を標準仕様 | 許容応力度計算 | 長期優良住宅の認定・申請費用も標準 |
| クレバリーホーム | クレバースで耐震等級3を案内 | 許容応力度計算 | 商品による |
| 桧家住宅 | 全棟で耐震等級3を実現 | 壁量計算 | プランに制約が出る場合があると注記 |
| ヤマト住建 | 耐震等級3を基準に制振装置を組み合わせ | 認定取得はプラン・強度計算による | 商品・プランによると注記 |
| アイ工務店 | 耐震等級3相当 | 一棟ごとに構造計算 | 最高等級にならない場合があると注記 |
| ヤマダホームズ | 商品別に耐震等級3または等級3対応を案内 | 商品ごとに構造計算・実大振動台実験等を記載 | 商品・間取り・申請により異なる |
この表を眺めると、7社が3つのグループに分かれることが見えてきます。順に見ていきます。
許容応力度計算を明示している2社
計算方法まで踏み込んで公表しているのは、確認できた範囲では泉北ホームとクレバリーホームの2社でした。
泉北ホーム
泉北ホームの公式サイトでは、耐震等級3の中でももっとも強度が高い許容応力度計算による耐震等級3を標準仕様としていると案内しています。あわせて全棟で長期優良住宅の認定を標準仕様とし、認定まで取得してメリットを享受してほしいという考えから、申請費用も標準仕様に含めていると説明しています。
申請費用まで標準に含めている点は、施主から見ると分かりやすい姿勢です。耐震等級や長期優良住宅は、取得そのものより「申請費用は別途です」と後から言われる場面のほうが気になる項目だからです。
同社は「同じ耐震等級3でも強度が違う」という趣旨のコラムも公開しており、計算方法の違いを自社の説明の軸に据えています。
クレバリーホーム
クレバリーホームの公式サイトでは、クレバースについて、壁量計算の耐震等級3よりも高い安全性能を誇る許容応力度計算の耐震等級3を標準としていると公表しています。また全棟構造計算に標準対応しているとしています。
同社は許容応力度計算について、時間や費用がかかるため多くの住宅会社では採用されない傾向があるとも書いています。自社の採用理由を、他社が採用しにくい理由とセットで説明している形です。
一方で、この記載は商品ラインアップの中の特定シリーズについてのものです。検討する商品が変わった場合に同じ扱いなのかは、商談で確認する項目になります。同社の全体像はクレバリーホームの坪単価・評判で整理しています。
全棟での対応を明示している2社
一条工務店
一条工務店の公式サイトでは、建築基準法の1.5倍の強度を持つ耐震等級3を、すべての商品タイプ・建物において標準仕様で実現していると公表しています。40年以上にわたって実物大の建物による耐震実験を続けており、その積み重ねにより等級3以上を標準仕様化したという説明です。
各階を六面体の箱型パネルで構成するツインモノコック構造を採用し、地震の力を面全体で受け止めて分散させるとしています。部材同士を主に釘でつなぐため、基準の最大2倍に及ぶ釘の増し打ちと、長さ最大1.5倍の釘を使用しているという記載もあります。
確認できた7社の中で、条件や例外の注記が見当たらなかったのは同社でした。詳細は一条工務店の坪単価・評判で扱っています。
桧家住宅
桧家住宅の公式サイトでは、全棟で壁量計算を行い、住宅性能表示の最高等級である等級3を実現していると公表しています。全棟という表現を使っている点は一条工務店と同じです。
ただし2点で扱いが異なります。ひとつは計算方法を壁量計算と明記していること、もうひとつは「耐震等級を満たすためにプランに制約が出る場合があります」と注記していることです。
私はこの注記を、施主にとって役立つ情報だと受け止めています。等級3を維持するために壁の配置に条件が生まれるのは構造上の道理であり、それを先に書いてある会社のほうが、打ち合わせでの認識のずれは起きにくくなります。同社の全体像は桧家住宅の坪単価・評判にまとめています。
プランによる条件を自ら注記している3社
3つ目のグループは、等級3を掲げつつ、プランや商品によって扱いが変わることを自社サイトに書いている会社です。
ヤマト住建
ヤマト住建の公式サイトでは、木造軸組に金物工法とパネル工法を組み合わせて耐震性を高め、制振装置エヴォルツを採用して揺れのエネルギーを制御すると公表しています。地震が起きた瞬間からエネルギーを制御し、建物の損傷を軽減するという説明です。
あわせて同社は、耐震等級3の認定取得はプランや強度計算によるため、すべてのプランで自動的に耐震等級3が取得できるわけではないと明記しています。
この書き方は正直な部類に入ります。自社の売り文句を弱める方向の情報を、あえて同じページに載せているためです。ヤマト住建の坪単価・評判もあわせて確認してみてください。
アイ工務店
アイ工務店の公式サイトでは、数百年に1度起こる大地震の1.5倍の地震力に対して倒壊・崩壊しない程度の強度として「耐震等級3相当」という表現を使っています。そのうえで、すべてのプランについて一棟一棟ごとに緻密な構造計算を行っていると説明しています。
さらに「プランによっては、最高等級にならない場合がありますので、打ち合わせにより決定します」という注記も置かれています。
ここは読み方に注意が必要な部分です。一棟ごとに構造計算を行うという記載は、設計への手間のかけ方としては手厚い部類に入ります。一方で、公式サイトの表現が「相当」である以上、第三者機関の評価書を取得するかどうかは別に確認する必要があります。この2つは矛盾しません。構造計算を丁寧に行うことと、評価書を取得することは別の手続きだからです。
検討している場合は、「性能評価書は取得できますか」「その場合の費用はいくらですか」を商談で確認しておくと、地震保険の割引まで含めた判断ができます。アイ工務店の坪単価・評判もあわせて参考にしてください。
ヤマダホームズ
ヤマダホームズの公式サイトでは、YAMADAスマートハウスについて耐震等級3と案内する一方、間取りによって等級3を確保できない場合があり、長期優良住宅の申請を行わなければ等級を確定できないと注記しています。3階建て住宅でも「耐震等級3対応」という表現と条件注記が置かれています。
同社は工法や仕様の異なる商品を扱っています。木質パネル接着構法の実大振動台実験は、その工法についての検証情報であり、別商品の耐震等級を直接証明するものではありません。したがって「ヤマダホームズは一律に等級3」と判断せず、検討している商品、間取り、申請の有無まで確認する必要があります。ヤマダホームズの坪単価・評判で商品構成を整理しています。
【PR】希望の間取りで等級3が維持できるかは、出してみないとわかりません
大きな窓や吹き抜けを希望する場合、等級3が維持できるかどうかは間取りごとに変わります。同じ要望を複数社に伝えてプランを出してもらうと、各社がどこまで対応するのかを並べて確認できます。
注記を書いている会社をどう評価するか
今回7社を読み比べて、私がもっとも参考になると感じたのは、条件や例外を自ら書いている会社の存在でした。
性能に関する表示は「書けば書くほど自社を縛る」性質を持ちます。注記を載せれば売り文句は弱くなり、載せなければ強く見えます。それでも「プランによっては最高等級にならない場合があります」と書く判断をしている会社があるわけです。
この注記は、実務では当たり前の話でもあります。壁の量と配置で耐震性能が決まる以上、大開口や吹き抜けを増やせば条件は厳しくなります。それを書いていない会社の建物でその制約がないという意味ではありません。
つまり注記の有無は、性能の優劣ではなく、説明の丁寧さの差として読むのが妥当です。そして施主にとっては、先に条件を知らせてくれるほうが打ち合わせは進めやすくなります。
逆に注記がない会社に対しては、こちらから聞けば済みます。次のセクションで、その聞き方を整理します。
商談で確認する聞き方
ここまでの内容を、商談でそのまま使える形にします。会社ごとの取得手続きや費用の確認は耐震等級1・2・3の違いと注文住宅での選び方のチェックリストに譲り、ここでは複数社を比べるための聞き方に絞ります。
- 耐震等級3の確認に使っている計算方法は何ですか。許容応力度計算ですか、壁量計算ですか
- その計算方法は、私が検討している商品でも同じですか
- 御社のサイトに書かれている注記は、私の希望する間取りにも当てはまりますか
- 希望している大きな窓や吹き抜けを入れた場合、等級3は維持できますか。難しい場合は何を調整することになりますか
- 制振装置は耐震等級の計算に含まれますか。それとも等級とは別の対策という位置づけですか
- 他社と比べたいので、等級3の根拠となる書類を見せてもらえますか
2つ目と3つ目は、今回の調査を踏まえた質問です。公式サイトの記載が特定の商品についてのものだったり、注記が付いていたりするため、自分のケースに当てはめ直す必要があります。
最後の質問は聞きにくく感じるかもしれませんが、性能の根拠を求めるのは施主として当然の確認です。私が9社を回った経験でも、この種の質問で気を悪くされたことはありませんでした。むしろ回答の具体性に会社ごとの差が出るため、比較材料になります。
最終的に2社まで絞ったあとの決め方はハウスメーカーを最終2社に絞ったあとの決め方で整理しています。
よくある質問
許容応力度計算をしている会社を選べばよいですか
計算方法は判断材料のひとつですが、それだけで会社を決める材料にはなりません。実際の耐震性能は、設計、施工品質、接合部の精度、地盤条件など複数の要因が関わります。計算方法を公表していることは、その項目について説明する姿勢があるという情報として受け取り、断熱性能や保証、価格とあわせて総合的に判断することをおすすめします。
公式サイトに注記がない会社は、制約がないということですか
そうとは限りません。壁の量と配置で耐震性能が決まる以上、間取りによる条件はどの会社にも生じます。注記の有無は説明の方針の違いと考えるのが妥当です。注記がない会社には、希望の間取りで等級3が維持できるかを個別に確認してください。
制振装置がついていれば耐震等級は上がりますか
制振装置と耐震等級は、別の枠組みの話として扱われます。制振装置は揺れのエネルギーを抑えて建物の損傷を軽減する目的の装置で、耐震等級は住宅性能表示制度に基づく等級です。商談で両方を並べて説明された場合は、どちらの話をしているのかを分けて聞くと整理しやすくなります。地震対策全体の考え方は地震に強い家を建てるためにできることで扱っています。
商品によって耐震等級の扱いが変わるのはなぜですか
会社によっては、工法や仕様の異なる複数の商品を扱っているためです。規格化された商品と自由設計の商品では、構造の検討の進め方が変わります。会社名で判断せず、検討している商品名まで特定して確認することをおすすめします。
公式サイトの記載はいつの時点のものとして読めばよいですか
この記事の内容は2026年8月時点で確認したものです。標準仕様や商品ラインアップは改定されるため、実際の商談では最新の仕様書で確認してください。各社が標準仕様として何を含めているかはハウスメーカーの標準仕様充実度を比較でも整理しています。
耐震等級3を取ると地震保険は安くなりますか
割引の対象になりますが、所定の確認資料が必要です。公式サイトが「等級3」「等級3相当」のどちらの表現であっても、個別住宅で対象書類が発行されるかを別に確認する必要があります。割引の仕組みは耐震等級1・2・3の違いと注文住宅での選び方で扱っています。
まとめ
公式情報で具体的な記載を確認できた7社を比べて見えたのは、「耐震等級3」という言葉が広く使われている一方で、その中身は会社ごとに違うということでした。
- 計算方法まで公表しているのは、確認できた範囲で泉北ホームとクレバリーホームの2社
- 全棟での対応を明示しているのは一条工務店と桧家住宅。ただし桧家住宅は壁量計算と明記し、プランの制約も注記
- ヤマト住建、アイ工務店、ヤマダホームズは、プランや商品によって扱いが変わることを自ら記載
- 「耐震等級3」「耐震等級3相当」のどちらの表記でも、地震保険の割引に使える確認資料が発行されるかは別に確認が必要
私がこの調査でいちばん役に立つと感じたのは、注記を書いている会社の存在でした。売り文句を弱める情報をあえて載せている会社は、打ち合わせでも同じ姿勢で説明してくれる可能性があります。
そして、どの会社を選ぶにしても、判断が要るのは「自分の希望する間取りで等級3が維持できるか」という一点です。これは公式サイトを読んでもわかりません。同じ要望を複数社に伝え、返ってきたプランと説明を並べたときに、初めて自分のケースでの答えが見えてきます。
【PR】タウンライフ家づくり

