住宅性能評価とは【2026年版】設計評価と建設評価の違い・費用を施主が解説

住宅性能評価の設計評価と建設評価の違い・費用・確認ポイント
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商談で分厚い資料をめくっていると、担当者が「うちは住宅性能評価も取得しています」と一言添えることがあります。その場では「きちんとした会社なのだろう」と受け取って話が先に進みます。ただ、あとから見積書を見ると、その費用が誰の負担で、どこまでの評価を指しているのかが書かれていないことがあります。

結論から言うと、私は住宅性能評価を全員が取るべきものだとは考えていません。取る価値がはっきりしているのは「地震保険を長期で掛ける人」と「引き渡し後にもめたときの窓口を確保しておきたい人」の2ケースで、それ以外の方は費用に見合わない可能性があります。理由は、評価される10分野のうち一戸建てで必須になるのは4分野だけで、残りは依頼しなければ評価書に載らないからです。

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住宅性能評価を標準で取得している会社と、オプション扱いの会社があります。複数社の間取りプランと見積もりを取り寄せると、性能に対する各社の姿勢が費用の内訳から見えてきます。

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目次

この記事でわかること

  • 住宅性能評価の10分野のうち、一戸建てで必須になるのは何項目か
  • 設計住宅性能評価と建設住宅性能評価の違いと、実際の取得実績
  • 評価機関の公開料金表から見た費用の実額
  • 取る価値があるケースと、見送ってよいケースの判断軸
  • 商談で確認しておきたい4つのステップ

住宅性能評価とはどういう制度か

住宅性能評価は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづく住宅性能表示制度の一部です。国土交通大臣の登録を受けた登録住宅性能評価機関が、共通のものさしで住宅の性能を評価し、等級などの形で表示します。

ポイントは、施工する会社ではなく第三者が評価するという点です。会社が自社の基準で「高性能」と説明するのとは、性質が異なります。

設計住宅性能評価と建設住宅性能評価は別物です

種類 タイミング 何を見るか 現場検査
設計住宅性能評価書着工前(設計段階)設計図書の内容なし
建設住宅性能評価書施工中〜完成後実際の施工内容一般的に4回

設計評価は図面の審査です。第三者が現場に来ることはありません。一方、建設評価は工事の段階ごとに検査員が現場に入ります。一般社団法人住宅性能評価・表示協会は、建設段階のチェックについて「一般的に4回の検査」があると案内しています。複数の評価機関の料金表でも、4回の検査工程が標準として設定されています。

「住宅性能評価を取得しています」という説明を受けたときに最初に確認したいのは、それが設計だけなのか、建設評価まで含むのかという点です。後述する保険割引や紛争処理の実利は、建設評価まで取っているかどうかで扱いが変わります。

10分野のうち、一戸建てで必須になるのは4分野だけです

住宅性能表示制度では、新築住宅の性能表示事項が10分野に分かれています。ここで見落とされやすいのが、10分野すべてが自動的に評価されるわけではないという点です。令和4年10月1日の見直しで、新築住宅の必須評価項目は4分野10項目に整理されました。それ以外は、依頼した場合にだけ評価される選択項目です。

分野 一戸建ての扱い 主な項目
1 構造の安定必須(一部選択)耐震等級(倒壊等防止)、地盤または杭の許容支持力等、基礎の構造方法等/耐風等級・耐積雪等級は選択
2 火災時の安全選択感知警報装置設置等級、脱出対策、耐火等級
3 劣化の軽減必須劣化対策等級(構造躯体等)
4 維持管理・更新への配慮必須維持管理対策等級(専用配管)
5 温熱環境・エネルギー消費量必須断熱等性能等級、一次エネルギー消費量等級
6 空気環境選択ホルムアルデヒド対策、換気対策、室内空気中の化学物質の濃度等
7 光・視環境選択単純開口率、方位別開口比
8 音環境選択透過損失等級(外壁開口部)
9 高齢者等への配慮選択高齢者等配慮対策等級(専用部分)
10 防犯選択開口部の侵入防止対策

※国土交通省「住宅性能表示制度における性能表示事項(必須/選択項目の範囲)」(令和4年10月1日施行)をもとに、一戸建ての住宅に該当する項目を整理しました。

表のとおり、防犯・音環境・光環境・空気環境・高齢者配慮・火災時の安全は、依頼しなければ評価されません。つまり「住宅性能評価書があります」という説明だけでは、その6分野について何もわからない状態です。会社ごとの性能を比べたいのであれば、評価書の有無ではなく、どの項目まで評価してもらったのかを見る必要があります。

逆に言えば、必須の4分野については評価書があれば横並びで比較できます。耐震等級・劣化対策等級・維持管理対策等級・断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級は、どの会社の評価書にも載っています。ここは会社間の比較材料として使える部分です。

取得実績から見た制度の使われ方

制度の説明だけでは判断しづらいので、実際にどれくらい使われているのかを見ておきます。国土交通省が公表している令和6年度の実施状況は以下のとおりです。

  • 新設住宅着工戸数:816,018戸
  • 設計住宅性能評価書の交付:279,010戸(交付割合34.2%)
  • うち一戸建ての住宅:131,905戸
  • 建設住宅性能評価書(新築)の交付:191,091戸
  • うち一戸建ての住宅:85,978戸

注目したいのは一戸建ての内訳です。設計評価を受けた131,905戸に対して、建設評価まで進んだのは85,978戸です。設計評価を取った住宅のうち、およそ3戸に1戸は建設評価まで進んでいない計算になります。

設計評価だけを取るケースが一定数あるのは、フラット35や補助金の要件を満たすために設計段階の書類が必要になる場面があるためだと考えられます。ただし施主の立場で見ると、現場検査が入らない設計評価は「図面が基準を満たしている」ことの証明にとどまります。

もう一つ、既存住宅の建設住宅性能評価書の交付は令和6年度で172戸、前年度から23.6%減っています。中古住宅の売買で性能評価が使われている場面は、実績で見るかぎりごくわずかです。「将来売るときに有利になる」という説明は、現時点の実績で裏づけるのは難しいと考えています。

費用の目安は公開されている料金表で確認できます

住宅性能評価の費用は評価機関ごとに設定されていて、料金表を公開している機関もあります。一戸建て(延べ面積200平方メートル未満)を前提に、公開されている料金表から実額を挙げます。いずれも税込です。

区分 日本住宅保証検査機構(JIO) 近確機構
設計住宅性能評価44,000円(選択項目なし)44,000円
選択項目の加算1項目につき1,100円項目ごとに設定
建設住宅性能評価110,000円
(100平方メートル未満は99,000円)
92,000円
(紛争処理負担金4,000円を含む)
検査が4回を超えた場合再検査16,500円1回につき22,000円
空気環境の実測64,900円〜73,700円別途

※各機関が公開している新築住宅の性能評価料金表より。適用条件や改訂時期は機関ごとに異なります。

設計と建設の両方を取る場合、審査・検査の費用そのものはおおむね14万〜16万円程度が目安になります。ここに会社側の申請手続きの手間賃が乗ることがあるため、見積書の金額はこれより大きくなる場合があります。

費用の構造で覚えておきたいのは2点です。1つは、選択項目の追加が1項目1,100円程度と比較的安いことです。防犯や音環境の等級を評価書に載せたい場合、金額のハードルは高くありません。もう1つは、空気環境の「室内空気中の化学物質の濃度等」だけは実測が必要で、6万円台の別料金になることです。ここは項目の性質が違うと理解しておくと、見積もりを見たときに驚かずに済みます。

メリットとされる項目を一つずつ検証します

① 第三者の現場検査が入る

建設住宅性能評価を取ると、工事の段階ごとに評価機関の検査員が現場に入ります。これは建設評価だけの効果で、設計評価には付きません。

私は建設資材メーカーに十数年勤めてきました。その経験から言うと、外部の検査が入る日程が決まっている現場と、社内検査だけの現場では、工程の組み方が変わることがあります。検査日に合わせて次工程へ進むため、段取りに一定の緊張感が生まれます。これは施工品質そのものを保証するものではありませんが、目に見えにくい部分の管理という点では効きます。

ただし、大手を中心に自社の社内検査体制を持っている会社もあります。契約先がすでに第三者検査や複数回の社内検査を標準にしているのであれば、上乗せの効果は小さくなります。

② 地震保険料の割引が受けられる

財務省が公表している地震保険の割引制度は以下のとおりです。

割引の種類 割引率
免震建築物割引50%
耐震等級割引(等級3)50%
耐震等級割引(等級2)30%
耐震等級割引(等級1)10%
耐震診断割引10%
建築年割引10%

これらの割引は重複して適用されません。耐震等級割引は、日本住宅性能表示基準に定められた耐震等級を有することが確認できた場合に適用されます。

注意したいのは、確認資料として何が使えるかは保険会社によって扱いが異なる点です。住宅性能評価書のほかに、長期優良住宅の認定通知書などが認められる場合もあります。「割引のために住宅性能評価を取る」と決める前に、加入予定の保険会社にどの書類が使えるかを確認してください。すでに別の書類で割引を受けられるなら、評価費用は二重の出費になります。

耐震等級そのものの選び方は耐震等級1・2・3の違いと注文住宅での選び方で詳しく整理しています。

③ 指定住宅紛争処理機関を利用できる

実利という意味で、私が最も価値を感じているのはこの項目です。建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅は、その請負契約や売買契約に関するトラブルが起きたときに、指定住宅紛争処理機関に申し込むことができます。住宅性能評価・表示協会によると、利用料は1件につき1万円です。

指定住宅紛争処理機関は各地の弁護士会が指定を受けていて、あっせん・調停・仲裁という形で第三者が間に入ります。建築の話がわかる委員が関与する枠組みが、定額で使えるという点が要です。

私自身、家づくりの過程で想定外の追加費用の問題を経験しました。当事者どうしで話をしていると、どちらの言い分が契約の範囲内なのかを判断してくれる人がいません。話し合いの入り口をあらかじめ用意しておけるという意味で、この制度は「保険」に近い性格を持っています。

ただし、この権利が生まれるのは建設住宅性能評価書が交付された住宅に限られます。設計評価だけでは対象になりません。

④ 住宅ローンの金利引き下げに使える

ここは誤解されやすいところなので、はっきり書いておきます。フラット35Sを利用するために住宅性能評価書が要るわけではありません。住宅金融支援機構は、フラット35Sの技術基準について「住宅性能評価書を取得しなくても、所定の物件検査に合格すれば、【フラット35】(金利Aプラン)および(金利Bプラン)をご利用いただけます」と明記しています。

新築住宅の金利Aプランは、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3、免震建築物、高齢者等配慮対策等級4以上、長期優良住宅のいずれかを満たすことが条件です。金利Bプランは耐震等級2以上や断熱等性能等級5以上などが条件になります。いずれも物件検査で確認できます。

したがって、金利引き下げだけを目的に評価費用を払う判断は、費用対効果の面で見直す余地があります。フラット35そのものの向き不向きはフラット35のメリット・注意点比較を参考にしてください。

⑤ 会社の説明を裏づける材料になる

「高断熱」「高耐震」という言葉はどの会社も使います。評価書があれば、必須4分野については第三者が確認した等級として残ります。

ただし前述のとおり、必須項目の等級は評価書がなくても各社が公表していることが多く、断熱性能であればUA値やC値のほうが比較材料として細かい情報を持っています。会社間の性能比較という目的だけなら、評価書の取得は遠回りになる場合があります。数値の見方は注文住宅の断熱性能の選び方、会社ごとの公表状況はハウスメーカーの断熱・気密性能を比較で整理しています。

取る価値がある2つのケースと、見送ってよいケース

ここまでを踏まえた私の判断軸です。

取る価値があると考えるケース

  • 引き渡し後にもめたときの窓口を確保しておきたい人……建設住宅性能評価書があれば、指定住宅紛争処理機関を1件1万円で使えます。契約先の規模が小さい、あるいはアフター体制に不安が残る場合ほど、この枠組みの価値は上がります
  • 地震保険を長期で掛ける予定で、他の割引資料がない人……耐震等級3なら保険料が50%割引になります。長期で掛け続けるなら差は積み上がります。ただし長期優良住宅の認定など別の資料で割引が受けられないかを先に確認してください

見送ってよいと考えるケース

  • フラット35Sの金利引き下げだけが目的の場合……物件検査で足ります
  • 長期優良住宅の認定を取る予定で、地震保険の割引もそちらの書類で受けられる場合
  • 契約先がすでに複数回の第三者検査を標準にしている場合
  • 設計住宅性能評価だけを取って終わりにする場合……現場検査も紛争処理の権利も付かないため、費用に対して得られるものが限られます

取得率が34.2%にとどまり、一戸建てでは設計評価を取っても3戸に1戸が建設評価へ進んでいないという実績は、この制度が「全員に必要なもの」として扱われていない実態を示しています。取らないという判断も十分に成り立ちます。重要なのは、何となく取る/何となく見送るのではなく、上に挙げた実利のどれを目的にするのかを決めてから判断することです。

【PR】性能の考え方は会社ごとに違います

住宅性能評価を標準で取得している会社もあれば、施主が希望したときだけ対応する会社もあります。複数社に同じ条件でプランと見積もりを依頼すると、費用の内訳から各社の考え方が見えてきます。

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商談で確認しておきたい4つのステップ

住宅性能評価まわりの追加費用は、契約後に判明すると調整が難しくなります。契約前に次の順番で確認しておくと、あとから金額が動きにくくなります。

ステップ1:設計だけか、建設評価まで取るのかを確認する

「住宅性能評価を取得しています」という説明を受けたら、設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書のどちらなのかを聞きます。会社によっては設計評価だけが標準で、建設評価はオプションという整理になっています。この記事で挙げた実利の多くは建設評価に紐づいているため、ここが出発点になります。

ステップ2:どの選択項目まで評価書に載るのかを確認する

必須の4分野以外に、どの項目を申請するのかを確認します。防犯や音環境の等級を残しておきたい場合は、この段階で伝えます。選択項目の加算は1項目あたり1,100円程度の設定をしている機関もあり、費用面のハードルは高くありません。

ステップ3:費用が本体価格に含まれるのかを確認する

評価機関に支払う審査・検査の費用と、会社側の申請手続きの費用を分けて聞きます。見積書のどの行に入っているか、含まれていないなら概算でいくらかを、書面で残る形にしておくと安心です。「標準です」という口頭の説明だけで進めると、変更契約の段階で扱いが変わることがあります。

ステップ4:評価書の写しをいつ受け取れるのかを確認する

地震保険の割引申請には評価書の写しが要ります。引き渡し後に保険を掛けることを考えると、いつ手元に届くのかを事前に決めておいたほうが動きやすくなります。設計評価書は着工前、建設評価書は完成後の交付になるため、保険の始期と合うかどうかを確認しておいてください。

契約前後の確認事項全般はハウスメーカーの保証・アフターサービスを比較、地震への備え方は地震に強い家を建てるためにできることもあわせて確認してみてください。

よくある質問

住宅性能評価と長期優良住宅は同じものですか

別の制度です。住宅性能評価は登録住宅性能評価機関が性能を等級で表示するもので、長期優良住宅は所管行政庁が認定する制度です。基準に重なる部分はありますが、長期優良住宅の認定を受けても、住宅性能評価のような第三者の現場検査が自動的に付くわけではありません。

「耐震等級3相当」と書かれている場合はどう考えればよいですか

「相当」は評価機関の評価を受けていないという意味で使われることが多い表現です。地震保険の割引は等級が資料で確認できることが条件になるため、「相当」の状態では割引の対象にならない場合があります。この点は耐震等級の記事で詳しく扱っています。

建設住宅性能評価の検査は施主も立ち会えますか

検査は評価機関の検査員が行うもので、施主の立ち会いが前提の制度ではありません。ただ、検査の予定日を教えてもらえるかどうかを聞いておくと、現場を見に行くタイミングの参考になります。

途中で仕様を変更した場合はどうなりますか

設計内容が変わると、変更設計住宅性能評価の手続きが必要になり、追加費用が発生します。公開されている料金表では、変更設計住宅性能評価が2万円台から設定されている例があります。間取りや仕様の変更を重ねる予定があるなら、この費用も想定に入れておいてください。

評価書があれば施工の品質は保証されますか

評価書は、評価の対象になった項目について基準を満たしていることを示すものです。工事のすべてを網羅した品質保証書ではありません。現場での確認や引き渡し前の内覧会でのチェックは、評価書の有無にかかわらず必要です。

まとめ

住宅性能評価は、第三者が共通のものさしで住宅の性能を表示する制度です。ただし一戸建てで必須になるのは10分野のうち4分野で、残りは依頼しなければ評価書に載りません。「評価書があるから安心」という受け止め方は、実態と少しずれています。

費用は設計と建設を合わせておおむね14万〜16万円が目安です。この金額に対して確実に得られるものは、建設評価に付く第三者の現場検査と、指定住宅紛争処理機関を1件1万円で使える権利、そして地震保険料の割引に使える資料です。フラット35Sの金利引き下げは評価書がなくても利用できます。

私であれば、契約先のアフター体制に不安が残る場合と、地震保険を長期で掛ける予定で他に割引資料がない場合には建設評価まで取ります。そうでなければ、その費用を断熱仕様や耐震等級そのものの引き上げに回すほうが、住み心地と安全性への効き方は大きいと考えています。取るか取らないかを先に決めるのではなく、何を目的にするのかを決めてから判断してみてください。

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この記事を書いた人

運営者:匠(たくみ)
関西在住。建設資材メーカーに勤務しながら、注文住宅を建てた施主です。

自身の家づくりで膨大な時間をかけて情報収集し、時には工務店とのトラブルも経験しました。その教訓から「施主側に立った、忖度なしの本音」を発信しています。
読者ファーストを貫き、自分が納得したものだけを厳選して紹介。後悔しない家づくりを一緒に目指しましょう!

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